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第六十二章 The Great Fire of Hawkhayr

火の勢いは速かった。


ハウカヤル川の水面には、血の色に気を取られて見えづらいが、油膜が張っていた。

何者かが、聖なる川に、油を垂れ流し、火をつけたのだ。

油を流したのは、斥候からの報告にあった、マトゥシュラダン山脈北方に潜むガタァランの兵が怪しいだろう。

そこには、ハウカヤル川の源流があり、流れに沿うように兵たちが控えていたと聞く。


火は瞬く間に強さを増し、辺り一面を飲み込んだ。

皮膚が焼けるように熱い。

サミュラカアンから受けた腹の傷が深く、だんだんと暗くなる視界の隅に、見知った影が映り込んだ。


「ネウ!

立って走れ!

私について来い!」


その影は叫んだ。

マカの声だ。

マカは、私を引きずるようにして抱え上げ、例の地下通路に続く石板をはね上げて、中に入るとすぐに扉を閉ざした。

扉の上ではごうごうと火の音が唸りを上げていた。


私はそのまま力尽きて、気を失った。

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