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第五十四章 The First Encounter of King Hakhar and Samurra Khan
「20年ほど前になる。
私がまだサカマシュの王子だった頃だ。
サミュラカアン老師は、タス教の真理を深めようと、各地を放浪しておられた。
わたしは、遊学先のラートの道端で、サミュラカアン老師と出会ったのだ。
サミュラカアン老師は、地べたに座り、物乞いをしておられた。
タス教では、徳の高い僧であれば、人からの施しに頼って生きるのが常だ。
若い僧は大抵寺院で修行をするため、衣食住に困ることはない。
だが、徳を積み寺院を出て、一人修行の道を歩む者は、施しによって生きるしかないのだ。
私は、この高徳の僧と思しき人が、ラートにおいていかに物乞いしているのかが気になった。
と言うのも、ラートにおいてはタス教はほとんど信仰されておらず、タス教徒は迫害に遭っていたからだ。」




