第四章 Plotting against the Sacred
「ガタァランとは、また不可解な。
何故、王は豊かな西方のラートではなく、北方を目指すのだろう。
北にはタス教の寺院や宗教施設も多い。
ガタァランには攻め入るのは、宗教的にはタブーではないのだろうか。」
小声でマカが囁くと、それを聞きつけたラカラスも会話に混ざってきた。
「まぁ、なんでもいいんじゃないかね?
あたしらはどうせ元敵国の武官だし、所詮、王に逆らうことなんてできやしない。
命じられたところに行くまでさ。」
「だけど、ガタァランにはタス教の総本山だってあるんだし、さすがにそこの僧兵を殺すってわけにもいかなんじゃないか?
そもそも、攻め入る意味がない。
タス教を信仰する人は、サカマシュにだって多いんだ。
人民から反感を買って何になるというんだ。」
マカとラカラスがひそひそと話していると、ハカル王が立ち上がり、ふたたび話し始めた。
「なお、此度の遠征の総大将は、ネウとする。
3000人の隊を組み、5日後の朝に発て。
些細は全て任せる。
天の子にして地の誉れであるハカルの言葉である。」
こう言い残して、ハカル国王は王の間を去り、残された者たちの目が、一斉にわたしを射た。
わたしはというと、空の玉座をただ見つめていた。
なぜわたしが、遠征の総大将に選ばれたのか。
答えのない疑問だけが、わたしの頭を巡っていた。




