第三章 The Words of the King
栄華を誇るサカマシュにしては、王の間は極めて質素だ。
なにしろ、だだっ広い空間の中、目を引くものと言ったら、剛健な造りの玉座と、その背後に掲げられたサカマシュの巨大な地図だけだ。
柱や壁もほとんど剥き出しのまま、最低限の装飾が施されているのみで、まるで贅など無意味であると言わんとするかのよう。
しかし、サカマシュ王国の守り神とされる獅子の彫刻だけは、そこかしこに素朴な木彫りであしらわれている。
この獅子の連隊に、わがクドゥンは敗北を喫したのではなかったか。
そうやって、王の間を眺めていると、ついにハカル国王が到着したようだ。
「ハカル国王、ご入来!」
掛け声とともに扉が開き、国王が入ってくる。
その出立ちは、鍛え抜かれた肉体に、聡明な思慮深さを窺わせる顔。
だが、同時に自分の欲望に忠実で、欲しいものを手に入れるためには他人の気持ちなど意にも介さない、冷徹さもまとっている。
わたしを含めて50名ほどの軍の主導者に迎えられた王は、玉座に座るやいなや、間髪入れずに話し始めた。
「天の子にして地の誉れであるハカルが語る。
いまより5日ののち、我がサカマシュと領地を接する北方の地、ガタァランに向けて進行する。
タス教の僧兵が抵抗してくるだろう。
だが、刃向かうものは、構わず殺せ。
天の子にして地の誉れであるハカルの言葉である。」




