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第二十九章 The Quiver
「それに、ここに来る途中、森の中でハカル王を見かけた気がしたのだ。
身を潜めながら、ダッカス寺院に向けて進んでいたように見えたのだが…。」
また一人、僧兵を薙ぎ倒しながら、わたしはマカに、森で見た光景を伝えた。
「バカな、ハカル王だと…?
王が、このような戦地に何の用があるというのだ?
見間違えではないのか?」
「あぁ、いや…。
わたしは確かに見たと思ったのだが…。
だが、ともにここに向かった部下たちは、誰もハカル王は見ていないと言っている。」
「では、やはり気のせいではないのか?」
「そう考えるのが自然なのだが…。
お前も知っているだろう?
わたしの聖剣、ピュア・ウォーター。
人の世に血が流される時、その血を洗い清めるために天が遣わす聖剣。
ハカル王を見かけた時、確かにこの剣が震えたのだ。
まるで、何かを訴えるかのように。」




