第三話 ハーレム増員!美少女の紹介会!
「“紹介会”を開こう。もっと俺のために集まってくる美女たちを歓迎してやらなきゃな」
そう言うと、ラミナは静かに頷いた。
「はい、透様。ハーレムの皆様にはすでに控えの間でお待ちいただいております」
絹のようなスカートが翻り、ラミナが俺の腕にそっと触れる。その手は温かく柔らかく、安心感に満ちていた。
けれど、それでも――
(……なんか、違う気がする)
ラミナは、完璧すぎるんだ。
優しくて、従順で、美しくて、文句のつけようがない。でもそれは、まるで俺の頭の中にある“理想像”そのものみたいで――
(……いや、考えるな。俺は間違ってない)
俺は“このため”に異世界に来たんだ。
宮殿の大広間には、まるで花園のように並ぶ美女たち。獣耳、角、翼、尾。人間には存在しないような多様な種族の少女や美女たちが、ドレスや民族衣装に身を包んで一斉に微笑み、俺に向かって一斉に挨拶する。
「透様、はじめまして♡」
「今日もお美しいです、透様……」
「きゃーっ、見て! 本物の透様だよぉ〜!!」
歓声が沸き起こる。まるでアイドルの登場だ。
俺は、王だ。ハーレムの中心に君臨する、異世界の支配者。
「ようこそ、俺の宮殿へ。君たち全員、俺の嫁候補だからな」
冗談めかして言うと、少女たちは一斉に頬を染めてうっとりと目を細める。中にはその場で気絶する子までいた。
ハーレム。
理想の楽園。
でも――
「……誰か、俺に“本音”で話してるか?」
ふと、そんな疑問が浮かんだ。
皆、俺を慕い、尽くし、愛してくれる。でもそれは本当に「俺自身」を見てのことか?
この力がなければ、金がなければ、王様でなければ――
彼女たちは、果たしてここにいたのだろうか?
「透様?」
ラミナが小さく首をかしげる。
「いえ、少し考え事をしてただけだ。……紹介会、続けよう」
ラミナは不安げに俺を見上げたが、それ以上は何も言わなかった。
次々と紹介される美女たちに、俺は微笑み、頷き、好意を返す。
けれどそのたびに、心の奥に空白が広がっていく気がした。
――あのとき、草原で出会った女の子は、どんな目をして俺を見てたっけ?
地味で、冴えない服。装飾も化粧もしていなかったけど……あのときだけは、不思議と“本当に心配してくれてる”って感じがしたんだ。
(モブなんて、酷いこと言ったな……)
けど今さら、あの子がどこの誰だったのか、名前すら聞いていなかった。
俺の中で、なにかが引っかかっていた。
けど――その答えは、まだ、見えない。
ハーレムは華やかで、俺は王様で、すべてが手に入った。
だから、俺は笑う。
俺は幸せだ。きっと、そうだ。
……そう、思い込もうとした。