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レベル8

 アルフレッドはレベル8に上がった自分の力を感じながら、ハイドエールの冒険者ギルドへと足を運んだ。ギルドの入り口には、いつも通り多くの冒険者たちが集まり、賑やかな雑談が飛び交っていた。


「おお、アルフレッドじゃないか!」ギルドの受付で働くロブが声をかけてきた。「レベル8になったって噂を聞いたぞ。おめでとう!」


「ありがとう、ロブ。次の仕事を探してるんだけど、何か良い依頼はあるか?」アルフレッドは笑顔で答えた。


 ロブは書類を見ながら、いくつかの依頼書を取り出した。「今、色々な依頼が舞い込んでるんだ。特に最近は黒衣の魔導士ザカリー・グラッドストンが姿を見せたって噂が広まってる。奴が動き出すと、何か大きなことが起こるのは間違いない」


「ザカリー・グラッドストン……あの伝説の魔導士か」アルフレッドは興味深そうに聞いた。


「そうだ。そして秘密結社セイセス=セイセスも何か企んでるみたいだ。最近、彼らの動きが活発化しているという情報も入ってるんだ」ロブは周囲を見渡しながら声を潜めた。


「セイセス=セイセスか……。これはただ事じゃなさそうだな」アルフレッドは少し考え込んだ。


「まあ、そんな危険な話ばかりじゃなくて、普通の依頼もあるさ。ハイドエールからほど近い場所にある魔法の森に、異常な魔力の波動が感知されたんだ。ギルドは、この魔力の原因を突き止め、森の異常を解決するための調査を依頼したがってる。森には危険な魔物が潜んでいるとの報告もあり、十分な注意が必要だが。どうだい?」ロブは依頼書をアルフレッドに手渡した。


「魔力の波動か。それならちょうどいい挑戦だな」アルフレッドは依頼書を読みながら頷いた。「これを引き受けるよ。早速準備に取り掛かる」


「了解だ。気をつけてな、アルフレッド」ロブはにっこり笑って送り出した。


 アルフレッドはギルドを後にし、新たな仲間を集めるために街を歩き始めた。レベル8の冒険者として、これからの冒険にはより一層の責任と決意が求められるだろう。彼の心には、次なる冒険への期待とともに、未知の敵との戦いへの準備が進んでいた。


 新しいパーティメンバー


エリオット:レンジャー

森や野外での生存術に長け、弓矢の名手。優れた追跡能力を持ち、罠を見つけたり仕掛けたりするのも得意。 幼い頃から森で育ち、動物や自然と共に生活してきた。家族を守るために戦うことを学び、今はその経験を冒険に活かしている。


サイラス:ウィザード

強力な魔法を操る熟練の魔法使い。特に元素魔法(火、水、風、土)に精通している。 背景:魔法学院を首席で卒業し、魔法の力を探求するために旅を続けている。知識と力を求める冷静で理知的な人物。


イザベラ:クレリック

回復と防御の魔法を得意とする聖職者。神聖な力で仲間を守り、癒す役割を果たす。 背景:幼い頃から聖職者としての訓練を受け、教会での修行を経て冒険者となる。信仰心が強く、正義を貫く意志を持つ。


ラグナ:ウォリアー

圧倒的な力と耐久力を持つ戦士。重装備を身にまとい、前線で敵の攻撃を引き受ける。 背景:戦争で家族を失い、その後戦士としての道を選ぶ。力と戦闘技術を鍛え上げ、復讐と正義を胸に戦い続ける。


 アルフレッドはパーティメンバーと酒場で集まることにした。


「エリオット、サイラス、イザベラ、ラグナ、この依頼を受けてくれるか?」アルフレッドはギルドの一角に集まっていた仲間たちに声をかけた。


 エリオットはすぐに頷いた。「もちろんだ。魔法の森のことなら、俺の出番だろう」


「興味深い依頼だな。異常な魔力の原因を突き止めるのは、私の得意分野だ」サイラスは冷静に言った。


「皆の安全を守るために、私も力を尽くします」イザベラは祈りを捧げるように言った。


「魔法の森だろうと、敵が何だろうと、俺が前線で守ってやる」ラグナは力強く言った。


 全員が装備を整えると、アルフレッドは仲間たちを見渡して言った。「みんな、行こう。魔法の森の異常を解決するために」


 エリオットは矢筒を背負い、弓を手に取った。「俺が先導する。森の道は任せてくれ」


 サイラスは魔法の杖を握り締めた。「魔力の波動を感じ取りながら進もう」


 イザベラは聖なるシンボルを胸に掲げた。「皆の安全を祈りながら、進みましょう」


 ラグナは大きな剣を肩に担ぎ、笑みを浮かべた。「どんな敵でも、俺が叩き潰してやる」


 彼らはハイドエールを出立し、魔法の森へと向かった。道中、エリオットが先頭を歩き、森の中の道を見極めながら進んだ。サイラスは魔力の波動を感じ取り、進むべき方向を指示した。イザベラは周囲の安全を確認しながら、仲間たちに癒しの力を与えた。ラグナは後方を守り、いつでも戦闘に突入できるよう準備を整えていた。


「ここから先が魔法の森だ。気を引き締めて進もう」エリオットが警戒しながら言った。


「異常な魔力が強まっている。みんな、注意して進むんだ」サイラスが警告した。


「大丈夫。私たちなら、必ず乗り越えられる」イザベラが微笑んで言った。


「さあ、行こう。俺たちの力を合わせて、この森の異常を解決するんだ」アルフレッドが力強く言った。


 彼らは魔法の森の奥へと進んでいった。待ち受ける異常な魔力の源と危険な魔物に立ち向かうために。



 魔法の森の中は、予想以上に神秘的だった。木々は通常の倍以上の高さがあり、葉は夜光性の蛍光色で輝いている。異常な静けさが漂い、彼らの足音だけが響いていた。


「ここは……まるで別の世界だな」エリオットが低い声で呟いた。


「魔力が濃厚だ。何か強力な存在が近くにいるかもしれない」サイラスが警戒しながら言った。


「気をつけて進もう。誰も一人にならないように」アルフレッドが指示を出した。


 突然、前方の茂みが揺れ、大きな影が現れた。それは、森の守護者である巨大なトレントだった。木々と融合したような体を持ち、彼らに立ちはだかる。


「森を荒らす者は許さない!」トレントが低く響く声で叫んだ。


「これは……予想外の相手だな。」ラグナが剣を構えた。


「戦うしかないようね」イザベラが準備を整えた。


エリオットが素早く弓を引き、トレントの腕に矢を放った。しかし、木のような硬い体は矢を弾き返した。

「魔法で攻撃する!」サイラスが炎の呪文を唱え、トレントに向けて火の玉を放った。炎はトレントの体に直撃し、部分的に木を焼いた。


「いいぞ、もっと燃やしてやれ!」アルフレッドが盾を構え、トレントの攻撃を受け止めた。


 イザベラが聖なる力を使ってアルフレッドに防御の魔法をかけた。「これで防御力が上がるわ」


 ラグナが前進し、トレントの脚を目掛けて力強い一撃を放った。斧が木の部分に深く食い込み、トレントは苦しげに吠えた。


「続けて攻撃するんだ!」アルフレッドが声を張り上げた。


 エリオットが再び矢を放ち、今回はトレントの目を狙った。矢は正確に目に突き刺さり、トレントは一瞬動きを止めた。その隙にサイラスが氷の呪文を唱え、トレントの動きを鈍らせた。


「これで終わりだ!」ラグナが叫び、トレントの体にもう一度強力な一撃を加えた。トレントは大きく揺れた後、ついに倒れた。


「やったぞ!」エリオットが歓声を上げた。


「まだ安心するな。異常な魔力の原因を突き止めないと」アルフレッドが冷静に言った。


 トレントが倒れた後、その背後に隠された古い祭壇が現れた。祭壇の上には、不気味な輝きを放つクリスタルが置かれていた。


「これが魔力の源か」サイラスが慎重に近づいた。


「このクリスタルをどうする?」エリオットが尋ねた。


「破壊するしかないわね。これ以上、森に影響を与えさせないために」イザベラが言った。


 サイラスが魔法の杖を振り上げ、強力な呪文を唱えた。クリスタルは激しい光を放ちながら砕け散り、その瞬間、森全体が静まり返った。


「これで森は元に戻るだろう」サイラスが安心して言った。


 クリスタルが砕け散ったその瞬間、闇のエネルギーが渦を巻いて周囲に広がった。その中心から、恐ろしい咆哮が響き渡った。黒い影が現れ、徐々にその姿が明らかになった。


「みんな、後退しろ!」アルフレッドが叫んだ。


 闇の中から現れたのは、巨大なデーモンだった。漆黒の翼を広げ、燃え上がる目で一行を睨みつけていた。


「これは……厄介な相手ね。」イザベラが緊張した声で言った。


 デーモンは爪を振り下ろし、アルフレッドはそれを盾で受け止めた。衝撃で地面がひび割れ、アルフレッドは後方へと飛ばされた。


「サイラス、魔法で援護してくれ!」アルフレッドが指示を出す。


 サイラスは瞬時に炎の呪文を唱え、デーモンに向けて火の玉を放った。しかし、デーモンはその炎を無視して前進を続けた。


「くそ、魔法が効かないのか?」サイラスが驚いた声を上げた。


 エリオットが弓を引き、矢を放った。矢はデーモンの体に突き刺さったが、デーモンは痛みを感じる様子もなく、再び爪を振り下ろした。


「物理攻撃も効かないのか?」エリオットが焦った。


「みんな、落ち着け!」アルフレッドが冷静に指示を出した。「イザベラ、聖なる力で攻撃してくれ。これは闇の存在だ」


 イザベラは神聖な力を集め、デーモンに向けて光の矢を放った。光の矢がデーモンに直撃し、デーモンは一瞬動きを止めた。


「効いてる! 続けろ!」アルフレッドが叫んだ。


 サイラスも魔法を再調整し、今度は氷の呪文を唱えた。デーモンの動きを鈍らせるために、氷の柱をその足元に出現させた。


「エリオット、狙いを定めろ。弱点を探せ!」アルフレッドが指示を出す。


 エリオットは冷静にデーモンの動きを見極め、再び矢を放った。今回はデーモンの胸の中心にある暗黒のクリスタルを狙った。矢が命中し、デーモンは苦しそうに呻いた。


「今よ、アルフレッド! ラグナ!」イザベラが叫んだ。


 アルフレッドは盾を構えながら突進し、ラグナは大地を疾走した。剣を高く振り上げる。彼らの剣はイザベラの祈りで聖なる力で輝き、デーモンの胸に突き刺さった。デーモンは激しく咆哮し、その体が光の中で崩れ去った。


「やったぞ!」アルフレッドが剣を抜き、息を整えながら叫んだ。


「これで……終わりか」ラグナが安堵の表情で言った。


 デーモンが消滅すると同時に、森は再び静けさを取り戻した。闇のエネルギーも消え去り、森全体が癒されていくのが感じられた。


「これで本当に森は元通りになるだろう」サイラスが微笑んで言った。


「みんな、お疲れ様。見事な連携だった」アルフレッドが仲間たちを称えた。


 彼らは無事に任務を果たし、ハイドエールへと帰還する準備を整えた。森の平和を取り戻したことに満足しながら、新たな冒険に向けて再び歩み始めた。


 一行は慎重に森を後にし、ハイドエールへと戻った。道中、アルフレッドは仲間たちに感謝の言葉を伝えた。


「みんなのおかげで、無事に任務を果たすことができた。ありがとう」


「こちらこそ、楽しかったよ」エリオットが微笑んだ。


「また機会があれば声をかけてくれ、一緒に戦おう」ラグナが力強く言った。


「ええ、必ずね」イザベラが頷いた。


「またの機会に」サイラスは言ってハイタッチとグーパンチを交わした。


 ギルドに戻ると、アルフレッドたちはギルドマスターに報告を行い、依頼の完了を伝えた。


「お見事だ、みんな。これで森も元通りになるだろう」ギルドマスターが褒めた。


 アルフレッドはレベル9になり、新たな力を得た。次の仕事に取り掛かる準備が整った。次はどんな冒険が待っているのか、彼の心は新たな挑戦に向けて高まっていた。

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