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08話

登場人物

シンタニ 大型貨物船「ジョニー」の乗員

ホリベ 乗客 火星鉱物資源探索会社勤務エンジニア

ヤナギサワ 乗客 同事務員

オハル ジョニーを管理するAI


08話

〇大型貨物船「ジョニー」船内ブリーフィングルーム

 中央に丸テーブル。椅子三脚。

 シンタニ、ホリベ、ヤナギサワ三人横並びで立ち。

〇暗転後明転

 シンタニ、ホリベ、ヤナギサワ並び立つ

 同三人によるそれぞれの独白

シンタニ「航海日誌、今は何日の何曜日の何時だ?まあいいか。」

 「火星軌道基地出発から98日。」

 「明日ジャンクヤードと呼ばれる中継地点に到着予定。」

ホリベ「システムの初期化を実行した犯人は未だ不明。」

 「冬眠装置の復旧もできなかった。」

 「照明で昼と夜を区別してはいるがあまり意味はない。」

 「50日は長かった。」

ヤナギサワ「予想外だ。予定外だ。」

 「食料はある。水もある。空気もまあ大丈夫だろう。」

 「寄り道している余裕があるとは思えないが今更手遅れだ。」

 「どうにか無事に月に辿り着けますように。」

〇暗転後明転

〇大型貨物船「ジョニー」船内ブリーフィングルーム

 中央に丸テーブル。椅子三脚。

 シンタニ、ホリベ、ヤナギサワ三人着席。

シンタニ「オハル、経由地到着予定時刻は?」

オハル「標準時で0930(ゼロキューサンマル)。」

 「間もなく目視で確認できます。」

ホリベ「結局応答はないまま?」

オハル「接続は確立されていますが応答はありません。」

ヤナギサワ「無駄足に終わりそうですね。」

シンタニ「このまま応答が無ければ窒素と食料の補充は難しいな。」

ヤナギサワ「難しい?不可能ですよ。この船には小型船がない。」

 「応答が無いのだから現地で借りることもできない。」

ホリベ「貨物船の接近に気付いて誰か港に来るかも。」

ヤナギサワ「楽観的ですね。呼びかけにも答えないのだから無理でしょう。」

オハル「経由地ジャンクヤードを標準カメラで補足。モニターに映像回します。」

 シンタニ、ヤナギサワ立ち上がり正面モニターへ。ホリベ着座のまま端末操作

シンタニ「一部だけ随分と明るいな。」

ホリベ「おそらく港かと。」

ヤナギサワ「おかしくありません?閉鎖されているなら灯り落としますよね。」

シンタニ「設備の、ハードウェアの故障でしたって事?」

オハル「接続は確立されています。ハードウェアの故障とか何それ。」

シンタニ「悪かったよ。他にコンタクトの方法はあるか?」

ヤナギサワ「関係ないかも知れませんが、これ何でしょう。」

シンタニ「これってどれ。」

 ヤナギサワ、モニター一部を指差し

ヤナギサワ「これですよ。太陽パネルのアームに」

シンタニ「小型船?。オハル、生命反応は?」

オハル「貨物船ごときに生命反応を確認するセンサーが装備されているとでも?」

シンタニ「オハルのカメラで中の様子まで見えませんか?」

オハル「遮光フィルータがあるので無理です。」

シンタニ「音は?人がいればこちらに気付いて何か叩いているかも。」

ヤナギサワ「仮に叩いていても音は届かないでしょうね。宇宙だから。」

ホリベ「港のカメラに侵入しました。中と外に4台ありますね。モニターに分割表示できる?」

オハル「プレイヤーとカメラのアドレスをリンクさせます。完了しました。」

シンタニ「え?なに?今さらっとすごいこと言わなかった?」

ホリベ「15分毎に分割保存されていますね。とりあえず最新のを確認します。」

ヤナギサワ「小型船は?あれはもういいの?放置なの?」

シンタニ「小型船の監視はお任せします。動きがあったら教えてください。」

ホリベ「15分前のログには何の動きもありませんね。その前を再生します。」

シンタユ「あ、港の中、三番のカメラに一瞬人影が。何人か奥に行ったぞ。」

ホリベ「早送りしましょう。何もなければその前を。」

オハル「その前の映像には三番のカメラに人物が映っていますね。」

シンタニ「先に見たの?ちょっとズルくない?フライング禁止ね。」

ホリベ「いやいやどんどん先に見て状況を分析してくれ。」

オハル「映像回します。」

シンタニ「3人か。港で宇宙服?空気漏れでも起こしたのか?」

ホリベ「いや、これ船外活動服じゃありませんよ。ユニットを背負っていない。」

シンタニ「じゃあ何。何で宇宙服なんて。」

オハル「形状から個人用防護服と推測。」

ヤナギサワ「防護服?なんで。どうして。」

ホリベ「動かないな。誰かと通信中か?」

オハル「一つ前のログに入港する場面があります。」

ホリベ「そこから頼む。」

オハル「4番カメラから小型船の入港と下船の様子が確認できます。」

ヤナギサワ[下りてきましたね。」

シンタニ「小型船の監視は?」

ヤナギサワ「防護服なんて聞いたら気になるじゃあないですか。」

ホリベ「オハル、音声のログはないか?」

オハル「音声データは存在しますが人の耳ではノイズにしか聞こえないでしょうね。」

 「解析します。完了しました。アテレコでよろしいですか?」

シンタニ「なにそれ?」

ホリベ「頼む。」

オハル「映像戻します。(咳払い)んんっ」

 「(防護服の人物)港に人はいない。大気の成分は正常。」

 「(通信士)空気感染の可能性は否定できません。引き続き警戒を。」

ヤナギサワ「今空気感染って」

シンタニ「ちょっと黙って。」

オハル「(防護服の人物)ファンは稼働している。入出港データを確認する。」

 「(防護服の人物)到着の記録は無い。本当に出港しているのか。」

 「(通信士)火星からの出港は確認済みです。」

 「(防護服の人物)ではやはり間に合わなかったのか。」

 「(防護服の人物)仕方ない。今から浄化作業に移行する。」

 「(大佐)残念だがその必要はない。」

 「(防護服の人物)必要ない?しかし浄化しなければ住民の」

 「(大佐)この施設は閉鎖する。ご苦労だった。全員二階級特進を家族に伝えると約束しよう。」

 「(防護服の人物)大佐?一体何の話を。おいちょっと待て。船を戻せ。」

オハル「(オハルの声で)2番カメラ、小型船が放出されます。」

ヤナギサワ「あっあっ、あの船ですよ。これ、あれ、ほらっ」


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