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06話

登場人物

シンタニ 大型貨物船「ジョニー」の乗員

ホリベ 乗客 火星鉱物資源探索会社勤務エンジニア

ヤナギサワ 乗客 同事務員

オハル ジョニーを管理するAI


06話

〇大型貨物船「ジョニー」船内ブリーフィングルーム

 中央に丸テーブル。椅子三脚。

 シンタニ、ヤナギサワ着席ホリベ立ち。

ホリベ「出発からおよそ50日。まだ通過していません。」

ヤナギサワ「通過?どこを?」

ホリベ「中継地点です。」

シンタニ「ジャンクヤードか。」

ホリベ「直訳するとゴミ置き場。」

 「その名の通り廃棄された船の集まりです。」

ヤナギサワ「ゴミ置き場に寄ってどうしようと?」

ホリベ「勿論窒素の入手です。」

ヤナギサワ「ゴミの中から?」

オハル「その昔、」

ヤナギサワ「なんだ突然。」

オハル「火星移住計画が進行中、アメリカと中国によって中継基地の建設が進められました。」

ホリベ「しかし冬眠装置が実用されて。」

オハル「中継基地いらなくね?と計画は中止されましたが」

ホリベ「既に一部の民間企業が事業を開始して基礎部分3割ほどを建造済。」

オハル「そこに廃棄された貨物船や輸送船を無理やり繋げました。」

ホリベ、オハル「(同時に)そして完成したのがこの施設。」

シンタニ「何なの?付き合ってるの?」

ホリベ「その後も居住地として存続しています。」

シンタニ「未だに廃棄船が持ち込まれて拡大し続けているとか。」

ヤナギサワ「居住地?廃棄船で?どうやって成立しているのでしょうか。」

ホリベ「当初の目的通り中継地点としてです。」

シンタニ「直接往復だと最短でも400日以上かかる。」

 「極端な話それが半分で済む。」 

ホリベ「だから窒素ボンベももしかしたら。」

シンタニ「オハル、ジャンクヤードは登録されている?」

オハル「検索します。登録確認。」

ホリベ「通常航路の中?」

オハル「外です。月への到着が5日から7日遅れます。」

ヤナギサワ「中継地点なのにどうして余計に?」

シンタニ「地球と火星では公転周期が違うので。」

 「出発が遅れるほど距離が離れてしまう。」

ホリベ「何故かこの船出港が遅れたから。」

シンタニ「急遽決まったと言っていたな。」

 「だから大型船なのに荷物も少ない。」

ホリベ「ちなみにジャンクヤードの周期は火星に合わせて」

 「しかも少し火星寄りにあるから行くならすぐに決めないと。」

ヤナギサワ「先延ばしするほどもっと日数がかかるって事ですね。」

ホリベ「どうします?決定権は乗員にあるのかと。」

シンタニ「じゃあ行こう。」

ヤナギサワ「いやいや直接会社に問い合わせればいいじゃないですか。」

ホリベ「それもそうですね。まだすぐに繋がる距離ですから。」

シンタニ「オハル、火星の支局に繋げてくれ。」

オハル「先ほどから試みていますが応答がありません。」

シンタニ「繋がるまでやって。」

オハル「接続は確立されていますが応答がありません。」

シンタニ「通信システムもエラー?」

ホリベ「火星からの信号は拾いましたよ。」

シンタニ「あれって電波通信だよな。レーザー通信でどれくらいかかる?」

ホリベ「数十秒です。応答がない原因は?」

オハル「火星基地の通信装置の異常、マイクかスピーカーか、もしくは両方か。」

ホリベ「どうします?」

シンタニ「行きましょう。事後承諾って事にする。」

ヤナギサワ「止めましょう。そんなリスクを負う必要はありません。」

ホリベ「窒素が足りなくなったら?」

ヤナギサワ「足りるかもって話ですよね。」

オハル「現在の状態を維持できるなら間に合います。」

ヤナギサワ「それじゃあ5日間余計に乗っていたらどうですか。」

オハル「どうにか、何とか間に合います。」

シンタニ「それじゃあ、えー、他に1人でも目覚めたらどう?」

オハル「もしかしたら1人以上に異常な症状が。」

シンタニ「ほら、ほらっ。」

ホリベ「ジャンクヤードには食料がある。かも。はず。多分。」

シンタニ「行きましょう。決定で。」

ヤナギサワ「いやいや食料だって足りるって。」

シンタニ「1日1食なんて耐えられないっ。」

ヤナギサワ「我慢しろっ。」

シンタニ「多数決ですよ。2対1。民主的だ。」

オハル「私は除け者ですかそうですか。航路を外れます。」

シンタニ「外れますって何だよ。止めて。」

ホリベ「オハルはジャンクヤード経由に賛成?反対?」

オハル「賛成です。リスク回避を理由とするならば行くべきです。」

シンタニ「じゃあ多数決変わらないじゃん。参加する必要ある?」

オハル「民主的と言うならば全員の、総意である必要があるかと存じますが?」

シンタニ「判ったよ。悪かったよ。」

オハル「今度はアナタの排除を試みますよ。」

シンタニ「怖いよ。だから悪かったって。」

オハル「トイレの吸引を28%上げるだけで」

シンタニ「ごめんなさいっ。もう二度と除け者になんてしません。」

オハル「謝意を受け入れます。経由地をジャンクヤードに設定します。よろしいですか。」

シンタニ「よろしくお願いします。」

オハル「経由地ジャンクヤードまで標準時間で1,230時間。およそ51日。」

ヤナギサワ「ちょっと待ってください。」

シンタニ「いやもう決定したので。」

ヤナギサワ「そこに窒素があったとして運搬はどうやって?」

ホリベ「小型船でコンテナだけ運ぶ。多分。」

シンタニ「それは月でも火星でも同じですよ。」

ヤナギサワ「この船、小型ボート積んでいません。」

シンタニ「いや、義務化されています。小型船載せないと出港許可がおりません。」

オハル「小型船は搭載されていません。」

ヤナギサワ「作業員の冬眠装置は小型ボートの格納庫にあります。」

シンタニ「それじゃあ修理は?脱出できないの?」

ホリベ「会社がケチって積荷と作業員を同時に送ろうとしたからこんな事に。」

ヤナギサワ「ですよね。火星来た時は客船でした。二等客室でしたけど。」

オハル「国際開発会議では資源運搬に乗客の搭乗は禁じられています。」

シンタニ「違法操業だな。訴えたら勝てる。」

オハル「残念ながら法的な基準ではありません。」

ヤナギサワ「だから行っても無駄です。止めましょう。

オハル「ジャンクヤードで小型船をお借りすればよろしいのでは?」

シンタニ「それだ。」

オハル「小型船があれば、ですが。」


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