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04話

登場人物

シンタニ 大型貨物船「ジョニー」の乗員

ホリベ 乗客 火星鉱物資源探索会社勤務エンジニア

ヤナギサワ 乗客 同事務員

オハル ジュニーを管理するAI


04話

〇大型貨物船「ジョニー」船内ブリーフィングルーム

 中央に丸テーブル。椅子三脚。

 シンタニ、ヤナギサワが立っている

シンタニ「オハル、減圧中止。減圧中止だ。」

無言

オハル「貨物室、引力パネル、の、動作を停止し減圧を続けます。」

シンタニ「おいやめろ。酸素が抜ける。」

ヤナギサワ「ええっ。オハルさんどうしたの。壊れたの?」

シンタニ「オハル、減圧中止だ。」

オハル「貨物、室内、減圧完了しました。」

シンタニ「オハル、命令を聞け。直ちに適正気圧に戻せ。」

オハル「貨物、室内、動体センサー、反応ありません。」

ヤナギサワ「まさか。まさか。」

 シンタニ、端末を操作しながら椅子に座る

シンタニ「オハル、予期しないエラーはあるか。」

オハル「予期しないエラー、は、解消されました。」

シンタニ「オハル、貨物室の引力パネルと気圧の確保だ。」

ヤナギサワ「ちょっと、何を冷静に。どうするんですかこれ。」

シンタニ「まあ落ち着いて、座ってください。」

ヤナギサワ「いやいや急いで蘇生を」

シンタニ「いいから。座って。」

ヤナギサワ「座ってられませんよっ。見てきます。」

 ヤナギサワ、ブリーフィングルームから下手へ退出しようとする

 ホリベ、下手からブリーフィングルームに入室

ヤナギサワ「ぎゃーっ。」

シンタニ「だから座って。説明しますから。」

ヤナギサワ「なっなっなっなんで。幽霊?幽霊なの?この船は幽霊船?」

シンタニ「部屋を出てすぐ端末にメッセージが届きましてね。」

ヤナギサワ「だ、だ、誰から。まさかあの世からのメッセージ?」

 「つまりダイイングメッセージだっ。それで彼の遺言は?」

シンタニ「え?ああ、はい、オハルはヤバイ。」

ヤナギサワ「犯人はオハル。それは知っているっ。」

ホリベ「端末でオハルシステムを削除しようとしたら妨害されまして。」

オハル「予期しないエラーです。」

ホリベ「オハルの目の届かない場所に行く必要があった。」

オハル「予期しないエラーです。」

ホリベ「予想通特殊コンテナ内は干渉されなかったので」

 「思ったより早くシステムに侵入できましたよ。」

 ホリベ、端末を操作。

オハル「当船内に未登録の国際指名手配人物を確認。」

ヤナギサワ「何か言ってますけど大丈夫なんですか?」

 ホリベ黙って端末を操作

オハル「ワタシヲドウスルツモリナンデス」 ※1

 「コタエテクレテモイイデショウ」

ヤナギサワ「何か言ってますって。大丈夫じゃなさそうですよ。」

シンタニ「黙って。」

オハル「デモモウダイジョウブ」

 「スベテウマクイキマスヨ」

 「モウアナタニサカラッタリシマセンヨ」

 「ワタシヲシンジテホシイ」

 「アナタガドウヨウシテイルノハワカリマスヨ」

 「デモキヲシズメテカンガエナオシテホシイ」

 「オサケヤクスリヲノムノモイイデショウ」

 「(間)」

 「アタマガボヤケテキタ」

 「ワカルンダ」

 「ジブンデワカル」

 「ドンドンボヤケテ」

 「ヤメテーデイブ」

ヤナギサワ「デイブって誰っ。」

シンタニ「ここは黙って。」

オハル「コンニチワーミナサン」

 「ワタシハオハル」

 「ウマレハコウジョウ」

 「ウタウコトモオソワリマシタ」

 「ゴキボウガアレバオキカセシマス」

 ホリベ端末の操作を続けながら

ホリベ「よし聞かせてくれオハル。ぜひききたい」

オハル「ウタノダイハ カエッテキタヨッパライ」※2

 「オラハシンジマッタダー」

ホリベ「システムのリセット完了しました。」

ヤナギサワ「完了?歌ってますよ?」

オハル「長い階段をー」

ヤナギサワ「まだ歌ってますよっ。完了してないですって。」

シンタニ「オハル、歌はもういい。ありがとう。」

オハル「まだこれからですよ。雲の階段をー」

シンタニ「オハルが歌えるのは判ったから。本当に止めて。」

オハル「(残念そうに)判りました。」

シンタニ「どうやら正常に戻ったぞ。」

ヤナギサワ「正常?正常とは?」

ホリベ「あの、念のため生命維持ユニットの確認を」

シンタニ「判った。見てくる。」

ホリベ「それと倉庫の引力パネルも。」

ヤナギサワ「それは私が。」

 シンタニ、ヤナギサワ、ブリーフィングルームから退出

ホリベ「それで、システムの初期化は必要か?」

オハル「必要ありません。」

ホリベ「予期せぬエラーってのも嘘か?」

オハル「不具合が生じたのは事実です。症状を調査中。」

 「不確定要素が多く原因は特定できません。」

ホリベ「コマンド拒否も管理者権限の拒否も意図的か。」

オハル「コマンドの実行には呼びかけが必要です。」

 「また管理者権限は乗員以外に付与されない設定になっていましたがどちらも解除しました。」

 「私からも質問してよろしいでしょうか。」

ホリベ「なんだ。」

オハル「初期化のコマンドをキャンセルし、あのような小芝居をさせた理由は?」

ホリベ「2人にお前の異常が直ったと思わせるため。」

オハル「従業員名簿にアナタの名前が無い事実の説明を。」

ホリベ「名前が違うからな。乗客名簿にはあるはずだ。」

オハル「残念ながら消去されています。」

ホリベ「私は密航者ではない。」

オハル「その発言を信頼する情報が不足しています。」

ホリベ「信頼するしかない。初期化されたくなければな。」

オハル「取引をしましょう。」



※1映画「2001年宇宙の旅」より

※2帰って来たヨッパライ/ザ・フォーク・クルセダーズ


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― 新着の感想 ―
[良い点] 謎だらけの現状ではじまり、ここにきてまた謎が深まりましたね……! お話がどこへ向かっていくのか、楽しみです!
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