表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

01話


登場人物

シンタニ 大型貨物船「ジョニー」の乗員

ホリベ 乗客 火星鉱物資源探索会社勤務エンジニア

ヤナギサワ 乗客 同事務員

オハル ジュニーを管理するAI


01話

〇警告音から明転

 大型貨物船「ジョニー」ブリーフィングルーム

 室内は机と椅子が散乱。

 下手からシンタニ。手にはタブレット端末

シンタニ「(大声で)オハル、警報を止めろ。状況を報告。」

 警告音止まる

オハル「(音声のみ機械的に)システムエラー、予期しない、エラー、が、発生、しました。」

シンタニ「予期しないエラーって何だ。オハル、原因と対策。」

オハル「(被せるように)システム、エラー。予期しない、エラー、が、発生、しました。

 上手からホリベ登場

ホリベ「(眠そうに)何事ですか。到着の案内にしては煩いですよ。」

シンタニ「(驚いて)うおっ誰だっ。」

ホリベ「乗客ですよ。冬眠明けたらここへ集合と言われていましたから。」

シンタニ「オハル、状況を」

オハル「(被せるように)システム、エラー。予期しない、エラー、が、発生、しました。」

シンタニ「だそうだ。」

ホリベ「再起動は試しましたか?」

シンタニ「試すってどうやって。」

ホリベ「どうって、乗員なら命令すればいいだけでは?」

シンタニ「それもそうか。オハル」

 下手から走ってヤナギサワ登場。手にホウキを武器のように携えている。

ヤナギサワ「海賊かっそれともエイリアンかっ。」

シンタニ「(驚いて)うおうっ。今度は何だっ。」

ホリベ「ジェダイの騎士では?」

シンタニ「何を言っている。」

ホリベ「ホウキで海賊やエイリアンに立ち向かおうとしているから。」

ヤナギサワ「何事ですか。何事なんですか。あれ?警報止まってますね。」

 「わかった。演習ですね?」

シンタニ「いや、これは演習ではない。繰り返す、これは演習ではない。」

ホリベ「どうして繰り返す。それより再起動してください。」

シンタニ「そうだな。オハル、システム再起動。」

オハル「システム、サイキドウ、実行シマスカ?」

シンタニ「実行。」

オハル「システム、再起動します。この処理には数分、かかる、事が、アリマス。」

 シンタニ倒れている机を一つ起こし、椅子を起こし座る

シンタニ「予期しないエラーって何だと思います?」

 ホリベ、ヤナギサワ椅子を起こして座る。

ホリベ「管理者権限は?」

シンタニ「持ってません。」

 ヤナギサワ、立ち上がり

ヤナギサワ「管理者ではない?では一体何者だっ。やはり海賊っ。」

シンタニ「私は臨時日雇のオペレーターに過ぎません。ただの乗員です。」

 「お二人は乗客で間違い無いですか?」

ホリベ「エンジニアです 。」

ヤナギサワ「私はそのあのえーっと」

オハル「システム、再起動、完了。」

シンタニ「オハル、状況を報告。」

オハル「システム に、予期せぬエラー、が、発生。」

シンタニ「予期せぬエラーってなんだ。オハル、具体的にエラー内容を」

オハル「予期せぬエラー、が、発生。」

ホリベ「ポンコツかよ。一つずつ確認しましょう。」

全員無言

ホリベ「乗員さん。頼みますよ。」

シンタニ「ああそうか。何から確認する?」

ホリベ「生命維持システムの稼働確認ですかね。」

シンタニ「オハル、生命維持装置の稼働確認。」

オハル「生命維持ユニット、稼働を確認。」

シンタニ「次は?」

ホリベ「現在地の確認?航行プログラムかな。」

シンタニ「オハル、航行プログラムの再起動だ。」

オハル「航行プログラム起動しました。」

シンタニ「オハル、現在地をブリーフィングルームメインスクリーンに映してくれ。」

オハル「現在地、は、未設定、です。」

ヤナギサワ「漂流だーっ漂流中だーっ。」

シンタニ「突然大きな声出さないで。」

ホリベ「火星からの信号が拾えれば現在地と標準時間が判ります。」

シンタニ「その前に、オハル、コマンド権限の追加登録申請。お願いします。」

オハル「予期せぬエラー、が、発生しました。」

シンタニ「予期せぬエラーってなんだ。登録できないのかよ。」

ホリベ「オハルはポンコツだから仕方ない。」

シンタニ「で、なんだっけ?」

ホリベ「火星からの」

シンタニ「ああそうか。オハル、火星からのビーコンを確認して同期を実行。」

オハル「確認、同期しました。」

 シンタニ、ヤナギサワ立ち上がり、三人正面スクリーンを見る。

ホリベ「(指差ながら)これが標準時でしょうね。えーっと48日経過しています。」

シンタニ「まだそんなもんなのか。もうそんなになのか。」

ホリベ「航海日誌で確認してください。」

シンタニ「あ、ああそうだ。オハル航海日誌の閲覧を」

オハル「新しい、航海日誌は、アリマセン。」

ホリベ「航海日誌も消えたの?欠陥AIだな。」

ヤナギサワ「簡単に消せるものじゃあないでしょ。」

ホリベ「管理者権限持っていないと。船長とか。」

シンタニ「この船に船長はいない。乗員がいるだけだ。」

ホリベ「その乗員の誰かでは?」

シンタニ「私じゃあないぞ。私は寝ていたんだ。」

ホリベ「じゃあ前の当番の人じゃあないですかね。」

 「その人叩き起こして確認してください。私は寝なおしますよ。170日もある。」

シンタニ「ちょっと待って。新しい航海日誌付けるから二人の名前を。」

ホリベ「ホリベです。」

ヤナギサワ「ヤナギサワと申します。」

シンタニ「オハル、航海日誌の新規作成。それから冬眠装置の再設定。」

オハル「システム、エラー、予期せぬエラーか、発生。冬眠装置、実行、不能。」

シンタニ「さっきからなんだこの予期せぬエラーって。」

ホリベ「ポンコツにもほどがある。」

ヤナギサワ「あの、それより早く確認した方がよくありませんか?」

シンタニ「何を?」

ヤナギサワ「何って現在地ですよ。何日経ったか確認しただけですよ。」

 「ここが何処なのか確認していませんよね。」

シンタニ「あ、そうだった。」

ホリベ「もっと大事な事あります。」

シンタニ「なんだよもう。聞きたくないよもう。」

ホリベ「食料ですよ。冬眠できず残り170日起きているなら食料が足りなくなる。」

シンタニ「それは困る。お腹が空いたら迂闊に漂流もできない。」

ヤナギサワ「今漂流中なんですけどね。」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ