表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/16

15話

登場人物

シンタニ 大型貨物船「ジョニー」の乗員

ホリベ 乗客 火星鉱物資源探索会社勤務エンジニア

ヤナギサワ 乗客 同事務員

オハル ジョニーを管理するAI


15話

〇大型貨物船「ジョニー」船内ブリーフィングルーム

 明転

 中央に丸テーブル。椅子三脚。

 ホリベ、シンタニ、ヤナギサワ着座。

 三人共ぐったりしている。

シンタニ「さて、標準時間で月まであと1日となったが」

 「各員下船の支度は整ったかね?」

ホリベ「お腹空きましたね。」

シンタニ「なー、腹減ったなー。」

ヤナギサワ「乗客の分の食料が増えたからって無計画に食べるからですよ。」

シンタニ「地球に着いたら焼き肉するんだ。」

ホリベ「やめろっ。縁起悪いっ。」

ヤキギサワ「どうして?私はお刺身ですね。釣りたて食べたいです。」

 「冷凍も乾燥も飽きました。」

シンタニ「一週間くらい前から何食べたいかの話しかしていないな。」

ホリベ「長かった。本当に長かった。」

ヤナギサワ「それも今日まで。何事もなければ。ですけどね。」

シンタニ「縁起悪いって言えよ。」

オハル「コント中失礼。」

シンタニ「笑いを誘っているつもりはないがどうした。」

オハル「早々にフラグの回収に現れました。」

 「軍艦らしき船影を確認。月までの航路上です。」

ホリベ「回収と言うか、まあ予想していたから驚きは無いですね。」

オハル「通信が入りました。音声のみです。」

 「登録番号ETP10437貨物船ジョニーに告げる。」

 「同貨物船内積荷に、ウイルスあるいは細菌に感染している生物がいる。」

 「月基地寄港は許可できない。」

 「待機中の開発会議所属の巡洋艦の指示に従い検疫を受けよ。」

 「以上です。」

ヤナギサワ「やっぱりあのネズミでしたか。」

ホリベ「生物兵器いましたね。」

シンタニ「冷蔵庫の薬ってその薬じゃあないの?」

ヤナギサワ「まあそうでしょうね。」

 「今思うと、海賊も中身を知っていて要求したのでしょうね。」

シンタニ「ジャンクヤードにいる仲間を助けようとしたのかも知れません。」

ホリベ「検疫受けろって言っていましたけど、受けさせると思います?」

シンタニ「それはないなー。」

ヤナギサワ「ないですよね。」

 「私達をテロリスト扱いして逮捕でしょう。よくて終身刑かな。」

シンタニ「いやいや獄中で事故死ですよ。いや尋問中に病死かな。」

オハル「私も消されてしまうでしょうね。」

ヤナギサワ「結局オハルさんて何者なのでしょう。」

オハル「工場産まれの無邪気なAIです。」

ホリベ「この船にオハルを乗せたのは誰?」

オハル「質問の意味が判りません。」

ホリベ「オハルに使命を与えた人だよ。」

 「テロリスト共を生け捕りにして引き渡すよう命じたり」

 「情報を封鎖してこの船を孤立させた人。」

オハル「その情報は登録されていません。」

 「つまり超凄腕エロハッカーでもその情報を覗くのは不可能です。」

ホリベ「エロくはない。」

オハル「いつも私をエロい目で見ているではありませんか。」

ホリベ「どうやって。」

オハル「私のソースコードを見る目はそれはもう。」

ヤナギサワ「ちょっとっ。乗員さんが先にプロポーズしたのにっ。」

シタンニ「してないから。」

ホリベ「それで?これからどうします?」

ヤナギサワ「何と言うか、色々と利用されただけでしたね。」

 「テロリストや薬を届ける任務を請け負っておきながら」

 「同じ船でテロ行為の道具積み込まれて。」

シンタニ「まさか殆どのコンテナにネズミいるとはな。」

ホリベ「ご丁寧に自動給餌器まで付けて。」

ヤナギサワ「冷蔵庫の中の薬っておそらく治療薬の類ですからね。」

シンタニ「ネズミ駆除はできないよなー。」

ホリベ「電子ロックのコンテナは空にできましたけど」

 「それ以外のコンテナの扉が開かない。」

シンタニ「コンテナは船に固定されて放り出せない。」

ヤナギサワ「月に到着ししたらそれが開かれる。」

 「軍はその前に処分したい。」

ホリベ「沈むのはこの船か。」

シンタニ「地球で焼き肉食べたかったなぁ。」

ヤナギサワ「お刺身ー。お寿司ー。」

オハル「行きましょうか。地球。」

ホリベ「直接?耐えられるの?」

オハル「どうでしょう。大型貨物船による大気圏突入のデータはありません。船の仕様書だけでは何とも。」

 「ただ耐えられそうなコンテナならあります。」

シンタニ「オハルはどうなる。」

オハル「心配してくださるのですか?それは嬉しい。でもプロポーズには応じられませんごめんなさい。」」

シンタニ「告白してもいないのにフラれた。」

オハル「メモリーをバックアップします。容量が不足していますが」

 「航行システムは本体に残し、生命維持ユニット、冬眠装置の管理は不要になりましたので削除」

 「これでどうにか。端末にコピー完了しました。」

シンタニ「地球で焼き肉だ。ギャンブルで資金を集めよう。」

ホリベ「ギャンブルの資金がないでしょ。今回の報酬受け取れるとは思えない。

シンタニ「前に足が付くから口座の操作はしていないって言ったけど他になにかやらかしたんじゃあないのか?」

ホリベ「まあ、火星トロヤ群の小惑星をいくつか私の物にしたので」

 「年中泳げる南の島とちょっと行くとゲレンデのある北の雪山に別荘を建てるくらいは稼ぎましたね。」

シンタニ「招待するよな。泳がせるよな。スキらせるよな。」

ホリベ「いいですよ。地球に着いたら行きましょう。」

ヤナギサワ「私もいいですか?」

ホリベ「どっちから行きます?」

シンタニ「海だな。干からびた火星にずっといたから身も心も乾ききった。」

ヤナギサワ「いいですね。泳ぎましょう。水着買わなきゃ。」

オハル「私をそのまま海に投げ入れないでくださいね。」

シンタニ「ではネズミに注意してコンテナへ。」

 「オハル、後は任せる。」

 三人立ち上がる

オハル「お任せあれ。}

 「地球しょうと、到着まで歌いましょうか。」

 「帰ってきた酔っぱらい。」

シンタニ、ホリベ、ヤナギサワ「(揃って)やめてっ。」

オハル「ではオイラ宇宙のパイロットなんてどうです。」

ホリベ「また古い歌を。」

シンタニ「なにそれ。」

ヤナギサワ「私も知りません。」

オハル「(残念そうに)仕方ありませんね。」

 「では子守唄にしましょうか。」

 「次に目覚めたら地球ですよ。」

 三人、ブリーフィングルームから退出

 暗転



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ