表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/16

12話

登場人物

シンタニ 大型貨物船「ジョニー」の乗員

ホリベ 乗客 火星鉱物資源探索会社勤務エンジニア

ヤナギサワ 乗客 同事務員

オハル ジョニーを管理するAI


12話

〇大型貨物船「ジョニー」船内ブリーフィングルーム

 中央に丸テーブル。椅子三脚。

 シンタニ、ヤナギサワ、ホリベ立ち。

大佐「確認するぞ。冷蔵庫はあるがこちらに渡すつもりはないと。」

シンタニ「いや渡す手段があればそうしますよ。」

ヤナギサワ「しませんよっ。」

シンタニ「ちょっと黙って。今のは聞かなかった事にしてください。」

 「会社に忠実なだけのようですから。」

大佐「冷蔵庫の回収が不可能と判断された場合は破壊命令が出されている。」

シンタニ「は?20名もの乗客がいるのに?」

大佐「そのような申請は受けていない。つまり無人船だ。」

シンタニ「無人?」

ホリベ「私達3名もいなかった事にするつもりですね。」

 「冷蔵庫渡しましょう。」

ヤナギサワ「ダメです。絶対に渡しません。」

シンタニ「冷蔵庫を渡したとして、その後は?」

大佐「君達には月に到着次第検査を受けてもらうがその後は自由だ。」

シンタニ「検査?冷蔵庫の中身って一体」

オハル「ご歓談中失礼。中型船が法定速度を超えて接近。」

通信士「大佐。中型船が接近しています。」

オハル「ふふん。私のが早かった。通信入ります。」

海賊「冷蔵庫を渡せ。それは我々の所有物だ。」

シンタニ「我々とは?」

海賊「我々は単なる海賊だ。」

シンタニ「海賊って事は軍隊の出番ですね。」

通信士「未確認船に告ぐ。速やかに武装を解除し動力を落とせ。」

 「船体登録の義務違反及び無許可での武装により拿捕する。」

海賊「海賊相手に何を言っている。」

シンタニ「あのー、お互いで話を付けてくださいます。」

オハル「商談中失礼。貨物室で異常を検知しました。」

シンタニ「貨物室ってこの船の?」

オハル「そうです。」

シンタニ「異常って?具体的に頼む。」

オハル「予期しないエラーで。」

 シンタニ、ヤナギサワ揃ってホリベを見る

ホリベ「なんですか。なんなんですか。」

オハル「動態センサーに反応がありました。」

ヤナギサワ「まさかっ。」

 ヤナギサワ、ブリーフィングルームから退出

ホリベ「モニターに倉庫を映してくれ。」

大佐「おい。どうした。何が起きた。」

海賊「冷蔵庫は?冷蔵庫は無事なのか。」

シンタニ「あんたらは商談続けて。」

 ホリベ、シンタニ、モニターを見る。

ホリベ「荷物が崩れたとかそんな程度の事では?」

オハル「一度限り、または単調な動きであれば報告はしません。」

シンタニ「は?動き回っているって事?」

ホリベ「ネズミ対策に猫でも積みましたかね。」

シンタニ「何でそんなに落ち着いていられるの?」

 「鉱物資源しか積んでいない貨物船でセンサー反応だぞ。」

ホリベ「コンテナを部屋にしている人がペットを連れ込んだとか。」

オハル「24番コンテナ映します。」

シンタニ「またほうきなんか持って。」

ホリベ「何処から持ってきたんだ?」

オハル「倉庫室の入口脇に清掃用具ロッカーがありますからおそらくはそこからかと。」

ホリベ「人力?倉庫の掃除は人力なの?」

オハル「あ。」

シンタニ「またそのあ。」

オハル「軍艦と海賊船が戦闘開始しました。」

ホリベ「状況をモニターに。倉庫は端末に映してくれ。」

オハル「衝撃に備えてください。」

シンタニ「緊急離脱だ。衝撃に備えろ。」

オハル「それさっき言いましたよね。」

シンタニ「状況は?」

ホリベ「ほうきを持って24番の前に。」

シンタニ「そっちは後で。戦闘行為は?」

オハル「先制は海賊船です。出力不足により巡洋艦波風の損害は軽微。」

 「波風による攻撃は威嚇ではなく報復のようです。直撃。」

 「海賊船に重大な損壊を認めます。直後海賊船の第二射。」

 「第一射と同じ箇所に命中。いい腕だ。」

シンタニ「で?軍艦の被害は?」

オハル「確認中。応答に応じません。」

 「三秒間の救難信号を確認しましたが停止しました。」

ホリベ「停止?切れたのではなくて?」

オハル「意図的に切られたようです。」

 「通信入ります。」

大佐「こちら開発会議所属巡洋艦波風。」

 「大型貨物船ジョニーに告ぐ。月へは行くな。繰り返す。月へは行くな。」

シンタニ「じゃあ何処へ行けと。」

大佐「この場で自爆せよ。その機能がない場合は当艦に体当たりしろ。」

シンタニ「断る。」

大佐「おいっ。これは命令だ。今すぐ方向を変え」

シンタニ「オハル、通信を切れ。」

 ヤナギサワ、慌ててブリーフィングルームに入室

 手にはほうきの柄。穂先はない。

ヤナギサワ「オハルさんっ貨物室の戸締まりをしてくださいっ。」

 「何かいるっ。貨物室に何かいますっ。」

シンタニ「ちょっと落ち着いて。何かって何。」

ホリベ「カメラには何も映っていませんよ。」

シンタニ「それにさっき、まさかって言って飛び出しましたよね。」

 「何かいると思ったからじゃあないの?」

ヤナギサワ「知らないっ。私は本当に知らないっ。」

 「冷蔵庫の中身が生物兵器だなんて聞いてないっ。」

大佐「生物兵器なのかっ。」

シンタニ「通信したままかよっ。」

ホリベ「そこ今どうでもいいでしょ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ