第十四話:誕生日
愛歌のパソコンでニュースを見ていた。
『またもノクティルーカによって、アガニレスなる犯罪集団の隠れ家が突き止められ、警察に通報が届けられました。しかしながら発見時、そこに隠れていた脱獄囚たちは何者かに殺害されていました。警察はノクティルーカとは別の人物による犯行として調査を進めています―――』
そりゃ、俺が犯人だとか言われちゃ困る。
「だめね。やっぱり、監視カメラは写り込む前に壊されてる。誰だか知らないけど、正体がばれないようかなり慎重だったことは間違いないわ」
俺だって愛歌に教えられたことをかなり慎重にやってたしな。
「白はどう思う、これの犯人?」
「さあ。新しい敵か、同業者か」
「同業者? これやったやつもヒーローだって言いたいわけ?」
「アンチヒーローってあるだろ」
愛歌は納得いかなそうな顔をしている。
「とにかく、民間人に被害者を出していたら敵、そうでなければ同業者だ」
「……一応一般人に被害は出していない。二週間前にアガニレスではない脱獄囚の隠れ家での殺戮が警察に届けられていてね。今調べなおしたら犯行方法がよく似ている。その後調査する中で似た事件がさらに2件あった」
その愛歌の静かに怒る言葉を最後に少し沈黙が流れた。
「私は、こんなのとあなたが同じだなんて、認めないから……」
声が震えている。
「わかったよ。ほら、飯にしようぜ。腹減ってると余計イライラもする。ピザでも取るか?」
「うん……。そうね、ごめんなさい。大変なのはあなたの方なのに……」
お互い、色々な事で一杯一杯なんだ。余計に敵は増やしたくないものだ。
「そうだ。今日はケーキを用意してるの」
「ケーキ? なんで?」
「1月15日あなたの誕生日でしょ」
「あ、ああ……」
正直忘れてた。
別世界では一年の日数が違ったし、その辺の感覚狂っていたのだ。
「ささやかになってしまうけれど。ちゃんとお祝いしたかったの」
「じゃあ、愛歌の時も祝わないとな」
「え? うーん、そうね楽しみにしてる」
二人ではあるがパーティを開いてくれ、プレゼントを渡された。
「すっごく悩んだのよ? あなたってファッションには興味なさそうだし、ここにいる限りご飯には困らせるつもりないし、どうしよっかなって」
そういって渡されたのはアコースティックギターだった。
俺のギターは先の事件で無くしてしまったからうれしかった。
「ありがとう大切にするよ」
久しぶりに少し楽しいと思えた日だった。