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第七話:大脱獄事件(後編)

「その為に何人も犠牲にするなんて御免だね。だから」

 

 言い終わると同時にブルーボムをぶつけ拘束する。


「仲間になんてならないよ」

「それは残念だ。ではぜひ我々の作品だけでも見て行ってくれ」


 そう男がいうと後ろの壁や上の階の床を突き破り何人もの強化人間が現れた。全員形の違う兵器と全身を覆う鎧を身につけている。


「……5人か。随分と派手なご登場だな」


 攻撃を避けながら、人数を数えた。


『7人よ! こっちに2人!』

「マジか。とりあえずそっちに合流する」

『お願い』


 水闘気を利用し、制御できる最高速度で来た道を戻る。

 そして愛歌に攻撃しようとしていた敵1人を突き飛ばし海に突き落とした。


「ありがとう」

「で? さっきの会話で何か分かったのか?」

「……リィナスエイジって名前には聞き覚えがあるの。それより」

「ああ、ゾロゾロと出てきたな」


 さっき倒したはずのやつも含め、7人の兵器を持った強化人間たちが俺たちを囲んだ。

 4枚の機械の翼を持った男。

 機械の甲羅らしき物を背負った女。

 大きな機械に腕をおおわれた男。

 アームを一本背負い、剣を合計三本持った男。

 機械のしっぽらしきものを持った女。

 角と鉤爪のような機械の足を4本持った男。

 機械のアームを7本背負った男。


「調べるためにとにかく一度帰らないと。どう? 全員やっつけられそう?」

「さあね。だいぶきついかもってことだけ言っとく。殺す前提なら秒だけど」

「そうよねぇ」

「愛歌は? どれくらい持ち堪えられる?」


 愛歌は愛歌でいつもとは違う装いだ。

 深緑色のスーツを身につけ、いつもは下ろしている髪をポニテにし、顔は俺と似た仮面をつけていて、両手に近未来感のある銃を持っている。


「さあ、そういう感覚分からないもの。サラのサポートがあるからある程度持つと思うけれど」

「んじゃ、俺が出来るだけ多く引きつける。きつけりゃ、やばくなる前に呼んでくれ」

「了解」


 目の前に居た翼のやつにブルーボムを連続で当てその場に拘束。何分持つかわからないが、ボム全弾と引き換えに少しの間無力化できただろう。

 すぐに機械腕と、三本剣にそれぞれ両腕からウィップを飛ばして、自分の近くに引き寄せ同時に蹴り飛ばした。

 次に機械足に足元の石を蹴って攻撃しこっちにヘイトを向けつつ、7本アームの後ろに跳んで回り込む。

 これで五人は俺の方にヘイトを向けられただろう。

 7本アームの懐に入りこみ攻撃する。


「ヒュドラっ!」


 両手の中指、薬指、親指を牙に見立てて、腹部の同じ個所に何度も連撃を当てた。


「かってぇ!?」


 鎧の中の人間を殺さないよう多少加減はしたのだが、あまりにも硬すぎる。鉄なら今の攻撃で粉々にできていたはずだ。硬さだけならミスリル以上はあるぞ。

 一度離れようとしたとき、アームに四肢を掴まれる。


「このまま虫みたいに、手足をもいじまうか」

「やってみろよ」


 亜空間から俺の剣を取り出し、回転しながら四つのアームを切り落とした。俺の剣ならあの金属も斬れるようだ。

 それに驚いていた7アームを空気圧で突き飛ばし海に落とした。

 次に、機械腕と機械足を同時に相手する事になった。

 機械足の間をくぐり抜けながら、剣でその足を切り落としてゆく。

 

「金属なら電気を通すよな。これはどうだ。ヴェノムファング!」


 機械腕の奴の胴体に四本の指を押し付け、電流を流す。が効果なし。


「なんでだよ!」


 ツッコみむなしく反撃されたので仕方なくこいつも離れた場所に突き飛ばす。

 これで全員バラバラに引き離したのだが……。


「なんだ?」


 突如背中に強い悪寒が走った。俺の危機察知だ。

 そしてすぐに危険位置を特定する。


「愛歌っ!」


 さっきの場所の丁度近くで戦闘していた愛歌を、急いで押し倒しその攻撃から庇った。


「急に何よ……。えっ?!」


 俺の左肩と脇腹、右太ももの三か所に包丁サイズの金属片が突き刺さっていた。

 一応体は魔術で強化したはずだ。この世界の拳銃程度ならダメージを受けないはずなのに……。


「ち、血!? それ、どうしたの?! そんなに血が出て……」

「平気。この程度の傷、回復魔法で治せる」


 が、問題はその時間を与えてくれなそうなこと。


「よぉ虫ちゃん。さっきのねばねばにちーっと時間使っちまった。今度は俺の番だ」


 今の攻撃は翼の奴によるものだ。

 翼に張り付いたブルーボムを剝がすために、翼を構築していた羽を全て抜き飛ばす事で再起動したようだ。

 その翼はすぐに生え変わって元に戻っている。さっきから何なんだこの金属は。


「お、おい?!」


 翼の奴が俺の脚を機械の鉤爪でつかんで飛び、空高く連れ去る。

 下に六人まだいるのに、愛歌を置き去る形になってしまった。早く戻らないと。

 

「放しやがれ!」


 翼の胴を蹴り、突き放す。

 すぐ下に降りようとしたのだが、案外動きが速く何度も邪魔された。

 ボードで滞空し、攻撃を仕掛ける。だが、空中戦は相手の方が有利だ。マズいな。


「あー、もう、しかたない! 死んだらてめぇを恨めよ!」


 翼の奴の足を掴み、地表に向かって投げ飛ばした。

 すぐに愛歌の横に降り立つ。


「だ、大丈夫?! そんなに動いちゃ……」


 また七人に囲まれてしまった。

 さっき切り落としたアームや足等も全員、何故か復活している。


「そうは言っても仕方ないだろ。ほら、もう一人追加だぞ」


 そこにさっき地下にいた男も現れた。


「皆さんの健闘見せていただきましたよ。七人がかりとはいえ、ヒーローをここまで追い詰めたのですから素晴らしい功績です。が、今日の目的は彼を倒すことではありません」

「えー、いいじゃねぇか。殺せるときに殺しとこうぜ」


 翼が言った。他六名も頷いている。


「言ったでしょう。彼は必要なのです」

「仕方ねえか。お前ら行こうぜ!」


 7本アームがいうと全員仕方なし、といった感じでその場を離れていった。

 逃がしたくはなかったが愛歌を守ることが最優先と思い、俺はその場にとどまった。


「ではノクティルーカ君。仲間になりたくなった時はいつでも」


 そういって一礼し、男も去っていった。


「ごめんなさい。私、家でおとなしくしていればよかった」

「そんなことねぇよ、7人相手にしなくて済んだのは愛歌のおか、げ、だ……?」


 少し気を抜いたら急に視界がかすみ、ふらつき始めた。


「え? 白? 白!?」


 そこで俺の記憶は途絶えた。

やはり戦闘シーンはつい文字数が増えてしまいますね……。

愛歌の今回の姿にヒーロー名をつけるなら「アラウド」ですかね。

音響兵器を使います。

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