第四話:ヒーロー活動開始!!(後編)
水闘気力を使って近くの家の屋根に乗り、街中をパルクールし始めた。
闘気力っていうのはその人の魂の力が気力に乗ったものだ。人それぞれ魂によって固有の力が発揮される。
俺の場合水の様な性質を持っていたために水闘気力と名付けている。
主な能力は消滅と流動。
気力を投げてぶつけることで体力や電力と言ったエネルギーを消滅させられる。
また川の激流のように超高速で空中や水中を駆けることができる。
これを使うと体全体が淡く水色に光る。俺が夜光虫と呼ばれるようになった理由だ。
その力を使って街中をかけていると、HUDに新しいウィンドウが現われ、そこに愛歌が写った。
『さて、移動におすすめなのから教えていくわね。まずは足のデバイスを起動して、断続的に気力を流しながら空中を歩いてみて』
言われた通りにすると宙を歩けた。
すぐに対岸の建物の屋上に着地する。
『水闘気力の性質を利用して、数歩だけ宙を歩けるようにしたの。じゃあ次。またとびだして体を進行方向に対し横に向けて、ほんの少しの間気力を流して』
また言われた通りにすると、今度は両足からスケートボードのようなものが現われ、宙を滑り始めた。
『いいわね。それは聞いていた水闘気力の弱点二つを補うために作ったの』
水闘気力の弱点は、あまりにも燃費が悪いことと、流動の力を使った時に超高速で動いてしまうために制御が困難であることの二つだ。
『これを使えば制御可能な移動速度を保ちつつ、少量の気力で空中移動が可能なはずよ』
淡々と説明される。
「おっけ。だんだん慣れてきた」
『今までのがシューズの説明ね。他移動に使えるのはもう一つ、リストウィップ。両腕のデバイスから発射できるわ。これは上下降したい時や急な方向転換をしたいときに使って。建物なんかに鉄線を刺し固定することで、それらを可能にするわ』
わざと進行方向から外れて、リストウィップを使ってみる。
右腕の手の甲側から鉄線が発射され急旋回することができた。これは便利だ。
移動に使えるメインの道具はこれくらいらしい。使って勉強しながら、目的地を目指した。
立ち並ぶビルの森を駆け抜けてゆく。
壁を蹴り、腕から鉄線を飛ばし、落下速度を加えて加速していく。
一際高いビルの壁に着地し、壁を走り、屋上に躍り出た。
『どう、気分は?』
耳元から愛歌さんの声が聞こえた。
「どうって……?」
眼下に広がる夜景を眺め見た。
「最高だ」
『よかった。じゃあ、ヒーローになりましょ』
目的地めざし、俺は夜の街の中にダイブした。
初日はここまでです。
お付き合いいただきありがとうございます。
明日からは1、2話づつくらいで毎日投稿していこうと思いますので、またよろしくお願いいたします。