5/18
第五章「シカゴ」
明、一郎です。あなたの夫です。
一つ、悪い知らせです。シカゴ・オヘア空港から「基地」へ向かうタクシーが「敵」の襲撃を受けました。装甲車両での護送をオファーされていたのですが、そちらはカモフラージュとして、一般客に混じり、タクシーを使う案を選択しました。でも「敵」が一枚上手でした。それにしても、一般人を巻き込むのをまったく躊躇しないとは。
ドローンによる自爆攻撃で、ぼくらのタクシーの他、車両十数台が被害を受けました。負傷者が多数。死者が出なかったのが不幸中の幸いです。國分くんはぼくをかばって背中に爆弾の破片を受けました。救急搬送されて、そのまま入院。全治一か月の診断です。
「基地」に着いたぼくは、装備を受領して、完全隠密行動に入りました。
しばらく手紙も書けないと思いますが、明、心配しないでください。ぼくは大丈夫です。
ハグとキスを送ります。
天沢一郎