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【第07回】第一幕・襲撃(07)売られた喧嘩………………#055〜#056

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#055■F大学・図書室

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          ずらりと並んだ長い書架の列。

          そのひとつに向かい、本を探している健。

          ある本を引き抜いた向こうにレイナの顔が現

          れる。

        健「あ、…どうも」

      レイナ「(そっけなく)昨日はどうも」

          健、本を戻し移動する。

          レイナも書架を挟んで見え隠れする健の姿と

          並行に歩く。

      レイナ「聞きたいことがあるんだけど」

        健「何を?」

      レイナ「昨日の去り際、“君は有名人だから…”って

          言ったでしょ」

        健「(止まる)憶えてない」

      レイナ「(も止まる)それは嘘…」

        健「(また本を探す)だったら何か?」

      レイナ「ちょっと皮肉っぽかった」

        健「そうかな?」

      レイナ「ほら、憶えてる。どういう意味?」

        健「別に大意はないけど。(本を取り開く)ほん

          とうに注目の的だから」

      レイナ「噂を真に受けて、ほんとうの私を知らないで

          しょ」

        健「ああ、知らない」

      レイナ「あなたはどうなの?」

      健の声「俺が君のことをどう思っているか気になるわ

          け?」

      レイナ「何言ってるの? バカみたい…昨日初めて会

          ったのに、気になるわけないじゃない」

      健の声「お言葉ですけど初めてじゃない、同じクラス

          だ。話した事はないけど」

      レイナ「え? そうなの。知らなかった…1ヶ月前こ

          の大学に編入したから、みんなの顔をよく覚

          えてなくて」

          ……健の気配がない。

      レイナ「ねえ、聞いてる?」

          書架の反対側に回り込むレイナ。

          物理学と生命工学の本を抱え、その場から離

          れていく健。

      レイナ「もう……」

          閲覧室のほうへ向かう健。

      レイナ「ねえ、自転車の修理代は? 受け取ってよ」

        健「いらない」

      レイナ「それじゃ私の気が済まないわ」

          答えない健。

      レイナ「ちょっと…何よ」

          と、小走りに追いかける。

          そこへ雄司が子分Aと子分Bを引き連れやっ

          てくる。

          健に追いつくレイナ。

          健とレイナの前に立ち塞がる雄司と子分Aと

          子分B。

       雄司「これはこれは、お二人さん。(嫌味っぽく)

          昨日の一件以来急接近しちゃいました?」

      レイナ「何か用?」

       雄司「あれれ、ごあいさつだな」

        健「どいてくれ」

       雄司「は? 今なんと」

      レイナ「(健に)この人には関わらないほうがいいわ

          よ」

          雄司たちをよけていこうとする健。

          再び立ち塞がる雄司たち。

       雄司「(ニヤリ)おっと、どちらへ?」

      レイナ「ちょっと、やめなさいよ!」

       雄司「(健に顔を近づけて)いいか? 俺のレイナ

          に手を出すんじゃねえぞ」

        健「……」

      レイナ「変なこと言わないで」

       雄司「(健の胸ぐらを掴み)おい、何とか言えよ」

        健「…離せ」

       雄司「(子分たちに)おー、聞いたか?」

          ニヤニヤと頷く子分たち。

       雄司「じゃあ、お望み通り離してやるぜ」

          と、そのまま力いっぱい突き飛ばす。

          持っていた二冊の本を落とし、背中から倒れ

          る健。

      レイナ「あ、何するのよ!」

          ゆっくりと立ち上がり本を拾う健。

       雄司「(構える)やるか?」

      レイナ「やめてよ」

        健「争う気はない」

          と、いこうとする。

       雄司「こっちにはあるんだよ」

          と、健の肩を掴む。

          それを振り払う健。

       雄司「この野郎!」

          と、健に殴りかかる。

          それを避けると同時に、本を雄司の喉元に突

          き当てる。

       雄司「(仰け反る)グフォ!」

          前後から健に殴りかかってくる子分Aと子分

          B。

          瞬時に屈み、二冊の本をそれぞれの顎に突き

          立てる健。

          鈍い声を上げ倒れる子分Aと子分B。

      レイナ「(ポカンと)……」

          喉を押さえ苦しそうに咳き込んでいる雄司、

          子分A、子分B。


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#056■同・廊下

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          歩いている健とレイナ。

      レイナ「(後ろを見て)ほんとムカツク、あいつ。で

          も驚いたわ。あなたって動きが俊敏なのね」

        健「無駄な争いだった」

      レイナ「あいつにはいい薬よ。胸がスカッとしたわ。

          (思いついて)ねえ、私に今からちょっとつ

          きあってくれない?」

        健「講義がある」

      レイナ「自主休講にしましょう」

        健「は?」

      レイナ「勉強する気分じゃないわ」

        健「気分って、そんな」

      レイナ「いいから。GO、GO、GO!」

          と、健の背中を押す。

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