【第06回】第一幕・襲撃(06)我々は宇宙人だ……………#046〜#054
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#046■浅葱山
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中腹へ突入する3つの光る球体。
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#047■同・中腹
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着陸態勢に入る3つの光る球体。
いくつかの木々をなぎ倒した後、停止する。
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#048■同・中腹(翌朝)
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木々の間に朝の陽光が差し込んでいる。
靄が立ち込める中に、怪しく光る3つの球体
(直径3m程)。
それらは宇宙船である。
光りが消えるとそれぞれに一部分が開き、中
から生命体が現れる。
頭には王冠をつけ、皮膚とコスチュームは金
色に輝くゴールドス大王。
片手には150cm程の大鉈を持っている。
続いてコウモリのような耳と翼を持ち、レイ
ザーガンを抱えているブロンズン。
そして角張った銀色のボディを持つロボット
のシルバード。
—以下、宇宙語で会話—
ゴールドス大王「(欠伸をして)ふぁああ〜〜、眠り足りない
わね」
遠くに市街地と海が見える。
ゴールドス大王「(目を見開き)なんて、素晴らしい眺めなの
かしら! 気に入ったわ、ここをアジトにし
ましょう」
ブロンズン「ゴールドス大王様、ここが地球ですかい?」
ゴールドス大王「そうよ、ブロンズン。ここが地球よ。(息を
吸って)空気もおいしいわ」
周りには花が咲いている。
ゴールドス大王「(気づき)まあ、きれいだわ」
そのひとつをちぎり、臭いを嗅ぐゴールドス
大王。
ゴールドス大王「さっそくだけど、我々のお目当ての物を捜す
としようかねえ。ブロンズン!」
ブロンズン「へい!」
手にした手帳大の探知機のスイッチを押すブ
ロンズン。
だが画面には何も表示されない。
ブロンズン「大王様、反応しませんぜ」
ゴールドス大王「むむ、おかしいわね。我々がクルール星にい
た時は、確かに地球からのエネルギーをキャ
ッチしたはずよ」
ブロンズン「もしかしたら、地球の磁場か何かが影響して
いるのかも知れません。でもご安心を。この
街のどこかにあると……」
ゴールドス大王「相変わらず曖昧ね。まあ、いいわ。目星はつ
いてるんでしょうね? さあ案内してちょう
だい」
ブロンズン「お待ちください、大王様。その前に、この地
域のことを調べませんと」
ゴールドス大王「どういうことよ?」
ブロンズン「は、大王様。言語、地理、情報などを仕入れ
ておけば、のちのち何かと都合がいいのでは
と…」
ゴールドス大王「(考える)う〜む、それもそうだわ。たまに
は良いこと言うじゃな〜い」
ブロンズン「恐れ入ります。シルバード、サーチしろ!」
シルバード「グォ!」
シルバードの頭部からレーダーアンテナが出
てきてグルグルと回る。
シルバードの胸部がスライドし、ディスプレ
イになる。
画面には街や人々や道路の様子などが次々と
流れる。
その中に一瞬、ジョギングをしているレイナ
の姿が映る。
続いて映画やTV放送もキャッチする。
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#049■TVのニュース画面
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キャスター「おはようございます。“グッドモーニング・
グッドニュース”の時間です。昨夜午後10
時頃、F市上空に未確認飛行物体と思われる
3つの光の玉の目撃情報が多数寄せられまし
た。現在、F管区気象台と警察では……」
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#050■87分署・全景
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分署ながらも大きな建物。
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#051■同・特別捜査課の前
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書類を抱えた婦人警官が中に入っていく。
入れ替わりに出てくる灰坂と茶山。
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#052■同・廊下
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茶山「灰坂さん、昨夜の未確認飛行物体はなんです
かね?」
灰坂「知るか」
茶山「僕はUFOとか信じてるんですよ」
灰坂「(煙草に火をつけ)そうかい、茶山。それよ
りも俺はあいつが気なる…」
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#053■路地(灰坂の回想)
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拳銃を構えやってくる灰坂。
倒れている強盗A。
灰坂に気づき振り向くクリムゾンX。
灰坂「(拳銃を向け)動くな!」
クリムゾンX、灰坂に軽く敬礼し目の前の高
い壁を跳び越えて向こう側に去る。
走り寄り壁を見上げる灰坂。
灰坂「はあ? 嘘だろ……」
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#054■87分署・廊下
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茶山「灰坂さんが見たという赤いマント男のことで
すか?」
灰坂「赤じゃない、深紅だ」
茶山「どう違うんです?」
灰坂「微妙にだ」
茶山「署長に報告は?」
灰坂「(首を横にふる)夢でも見たんじゃないかと
言われるのがオチだ。そうでなくても煙たが
られてるからな、俺は」
と、煙草を吹かす。
煙が茶山にかかる。
茶山「煙いです…」
灰坂「(睨んで)なんだと?」