【第30回】第三幕・電撃(06)交換条件……………………#212〜#216
——————————————————————————————
#212■白鳥博士の家・リビング
——————————————————————————————
レイナの携帯電話の呼び出し音を聞いている
白鳥博士。
白鳥博士「出ない、まさか……」
健「俺、行ってみます」
その時、健の携帯電話が鳴る。
表示されない電話番号。
白鳥博士「レイナか?」
健「いや、何も表示されません」
鳴り続ける携帯電話。
受信ボタンを押しゆっくりと耳に当てる健。
健「……誰だ?」
ゴールドス大王の声「ハイハーイ、あ・た・し。お嬢さんを預かっ
てるわよ」
健「何? 貴様!」
ゴールドス大王の声「あのリングと交換したいのよ」
白鳥博士「どうした?」
健「(博士に)あいつです。レイナがさらわれま
した。イーオン・リングを渡せと……」
白鳥博士「なんじゃと? こりゃ大変じゃ」
ゴールドス大王の声「ここで問題です。どこにいるか当ててごらん
なさーい」
健「分かるわけないだろ!」
ゴールドス大王の声「ヒントをあげるわ。●時にF公園の公衆電話
に出なさい。その時に場所を教えるわ」
健「(時計を見て)いくらなんでも無理だ」
ゴールドス大王の声「あら、そんなことないわよ。健ちゃ〜んなら
間に合うんじゃない? いや、クリムゾンX
だったわね」
健「何!」
ゴールドス大王の声「変身するのは許さないわよ。その間抜けな顔
を上げてご覧なさい。おまえたちの動きはお
見通しなのよ」
上を見る健と白鳥博士。
天井で静止した追尾球の眼が睨んでいる。
白鳥博士「いつのまに入ってきたんじゃ」
——————————————————————————————
#213■宇宙船・内部
——————————————————————————————
ディスプレイに追尾球を見上げている健と白
鳥博士の映像。
ゴールドス大王「時間がないわよ。さあ、どうするの?」
イーオン・リングの入った透明カプセルを取
って駆け出す健が映る。
——————————————————————————————
#214■白鳥博士の家・表
——————————————————————————————
玄関から走ってくる健。
ガレージから飛び出てくる博士の車。
窓を破って追ってくる追尾球。
白鳥博士「健、乗るんじゃ!」
追尾球の眼の色が変わり、健の背後からビー
ムが発射される。
博士の車のタイヤが破裂する。
健「(振り向いて)!」
白鳥博士「なんと!」
ゴールドス大王の声「誰が車を使えと言ったかしら。それに爺さん
は来なくてもいいのよ。クリムゾンXだけを
招待するわ」
白鳥博士「(車から出て)不愉快な奴め」
ゴールドス大王の声「言う通りにしないと、きれいなお嬢さんの顔
に傷がつくわよ」
健「くそっ!」
ゴールドス大王の声「さあ、転ばないように走ってちょうだい」
白鳥博士「健、頼んだぞ」
白鳥博士に頷いて駆け出す健。
ゴールドス大王の笑い声が響く。
——————————————————————————————
#215■丘陵地
——————————————————————————————
全力で走る健。
後方から追尾球が追っている。
青い空が陰り出す。
——————————————————————————————
#216■街中
——————————————————————————————
歩道の人混みを縫って走る健。
歩行者用信号が赤に変わる。
構わず交差点に入る健。
急停車する車の間を通り抜ける健。
運転手たちから罵声を浴びせられる。
追尾球が上空から追いかける。