【第03回】第一幕・襲撃(03)二人は突然に………………#026〜#029
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#026■F大学・駐車場
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愛車である白いポルシェのほうへ歩いている
レイナ。
しつこくついてくる雄司と子分たち。
ポルシェのドアを開け、バッグを助手席に放
り込むと、すかさず乗り込むレイナ。
雄司、レイナが閉めるドアを制する。
雄司「それからよ、この前の件だけど…もっと話し
合おうぜ」
レイナ「まだ言ってるの。NO!って言ったはずよ。
いくら話し合っても無駄。あなたとなんか付
き合いたくないわ。私、お喋りな男は嫌いな
の。どいて!」
と、ドアを閉めエンジンをかける。
急発進するポルシェ。
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#027■同・駐車場出入り口付近
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道なりに曲がるポルシェ。
その時、右側から健の自転車がレイナの視界
に飛び込んでくる。
接触しそうになるが、互いに急ブレーキをか
ける。
反動でつんのめる健。
車体から離れ宙を舞う健の体。
しかし、一回転して着地のポーズを決める。
それを目撃した学生たちのどよめきの後、拍
手が起こる。
慌てて車外に出るレイナ。
レイナ「すみませーん。だ、大丈夫ですか?」
健「(レイナを見る)え?…ああ、なんとか」
レイナ「あのう、怪我は……」
健「いや別に…この通り何にも」
レイナ「でも……」
背後から雄司の声。
雄司「本人がそう言ってるから、いいんじゃねえの
?」
と、子分たちを連れて間に入ってくる。
レイナ「(雄司を睨んで)あなたに関係ないでしょ」
雄司「いやいやいや〜、俺は一部始終見てたぜ。あ
の状況じゃ誰だってやっちまう。(子分たち
に)なあ?」
子分A「そりゃあ、急に飛び出すほうが悪いよなあ」
子分B「そりゃ、そ〜うだ」
黙って自転車を起こす健。
レイナ「自転車は……。あっ」
ハンドルが少し歪み、フレームに傷が入って
いる。
健「これくらい……」
レイナ「ごめんなさい…」
雄司「レイナが謝ることはねえ」
レイナ、雄司を睨む。
健「こっちも寝坊して急いでいたから…ほんとに
大丈夫だから」
その時、雄司の携帯電話が鳴る。
雄司「誰だよ。(出る)お、親父……」
歩き回りながら、レイナをニタニタと見てい
る子分たち。
健「じゃ、俺はこれで…」
と、自転車に跨る。
レイナ「あ、修理代は請求してください。私は3年の
…」
健「知ってる。君は有名人だから…」
と、校舎のほうへ走り去る。
レイナ「(不快に)はぁ?」
通話が終わりそうな雄司。
雄司「……ああ、分かった。(面倒くさそうに)後
でそっちにいく」
電話を切って周り見る雄司。
走り去るレイナのポルシェ。
雄司に対し肩をすくめる子分たち。
雄司「チッ!」
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#028■大学前通り
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走るポルシェ。
釈然としない表情で運転するレイナ。
レイナ「(ぶつぶつと)何よ…“君は有名人だから、
てんてんてん”…嫌な言い方」
と、アクセルを踏み込む。
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#029■大宇宙
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暗黒星雲の中から3つの光る球体が現れ、高
速で飛んでいく。