【第29回】第三幕・電撃(05)忍びよる影…………………#208〜#211
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#208■白鳥博士の家・リビング
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暖炉の側に立っている健。
ソファに座って考え事をしている白鳥博士。
テーブルにはイーオン・リングが入った透明
ケース。
健「刑事は博士のことも疑っているようです」
白鳥博士「う〜ん、困ったのう。早くカタをつけないと
なあ。何か名案はないかのう」
壁の振り子時計が●時を告げる。
何気なく見る健。
白鳥博士「そうじゃ、(健を見て)イーオン・リングを
餌におびき出すという作戦はどうかのう?」
生返事をする健。
白鳥博士「(立ち上がり)よし、危険じゃがそれしかあ
るまい。一か八かじゃ。さっそく準備に取り
かかろう」
じっとして動かない健。
白鳥博士「どうした? 何か不満でも」
健「あのう、博士……さっきから考えていたんで
すけど、彼女がいるところに決まって奴らが
現れています」
白鳥博士「うむ…」
健「最初の複合商業施設『ブルーノア』、海浜公
園、そしてあのホテル…。おかしいと思いま
せんか?」
白鳥博士「そう言えばそうじゃのう」
健「何か理由が?」
白鳥博士「レイナが狙われたのはおかしいと思ってたん
じゃが。イーオン・リングの出すエネルギー
を探知して奴らは動いていたのなら、レイナ
は関係ないはず……」
健「あのホテルではイーオン・リングがあったか
ら奴らもきたんでしょうけど、他の2ヶ所に
は…」
白鳥博士「うむ、確かにそうじゃが」
健「彼女からエネルギーが出ているとか?」
白鳥博士「それは、ありえん」
健「でも、そうとしか考えられないでしょ」
白鳥博士「エネルギーはイーオン・リングからしか出て
おらん。透明カプセルに入れて遮断しておれ
ば問題ない」
健「こうは考えられませんか? あの泥棒が透明
カプセルからイーオン・リングを取り出した
んじゃないかと」
白鳥博士「その時にエネルギーを放出し、探知した奴ら
がホテルに現れたということじゃな」
時計の振り子が気になり、見つめている健。
健「(閃いて)そうか。あれだ!」
白鳥博士「なんだね?」
健「奴らが現れた3つの場所に共通するのは彼女
です。しかもペンダントですよ。ストーンを
大切な人にもらったと…」
白鳥博士「ペンダント?」
健「そうです。彼女がつけているペンダントの石
じゃないかと」
白鳥博士「石? あっ!」
—フラッシュ—
レイナ「…じゃあ貰っていい?」
白鳥博士「あの時、レイナが持っていった破片か」
健「それはイーオン・リングと関係が?」
白鳥博士「ああ、君にも見せたあの岩石の…あれにはエ
ネルギーなどないはずじゃが…(思い出し)
はっ?!」
—フラッシュ—
実験の失敗でイーオン・リングが吹き飛ばさ
れ、山形の岩石にひっかかる。
白鳥博士「あー! あの時イーオン・リングのエネルギ
ーが、元の岩石に移っていたのかもしれん。
静止していればいいが大きく揺らしたりする
と、僅かな破片でもエネルギーを放出してい
たということか。しまったー」
頭を抱え込む白鳥博士。
健「そうだとすると奴らはペンダントが揺れて発
するエネルギーをイーオン・リングのほうだ
と勘違いしていたんですね。今までは」
白鳥博士「最初の複合商業施設『ブルーノア』では、そ
のペンダントをつけていたのか?」
健「つけていました。あの日、俺たちはジェット
コースターに乗りました」
白鳥博士「当然ペンダントは揺れるな」
健「その次の海浜公園でもつけていたような記憶
が」
白鳥博士「そして、あのホテルでもか?」
健「…俺と彼女が隠れていた部屋に奴らがきたの
も、ペンダントのエネルギーを探知したんで
すね」
白鳥博士「しかし泥棒が持っていたイーオン・リングの
ほうを追いかけた訳じゃな」
健「ペンダントよりもイーオン・リングのパワー
が強かった。でもペンダントがまた揺れたり
すると…」
突然、顔を見合わせる健と白鳥博士。
健・白鳥博士「(あっ)!」
白鳥博士「レイナが危ない!」
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#209■レイナの部屋・リビング
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テーブルに置いた携帯電話が鳴っている。
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#210■同・浴室
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シャワーを浴びているレイナ。
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#211■同・浴室の前
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ガラス戸に映るレイナのシルエットに、何か
が近づく気配。