【第27回】第三幕・電撃(03)正体を知りたい……………#199〜#201
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#199■大学前通り
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レイナのポルシェが突っ走る。
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#200■87分署・特別捜査課
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自分の机に駆けてくる灰坂。続いて茶山。
机上のノートパソコンの映像を流す灰坂。
灰坂「そのポルシェを運転していたのは、あの女子
大生ぽかったと言ったな。助手席にいたのは
どんな男だった?」
茶山「(思い出し)顔ははっきり見えなかったんで
すが、同じ歳ぐらいだったような……」
映像を止める灰坂。
灰坂「これを見ろ。騒動が起きる前の広場の監視カ
メラの映像だ。オープンカフェが映っている
だろ」
茶山「はあ、はい」
灰坂「顔がよく見えないが、小さく映るこのカップ
ルだ。女の方は白鳥レイナという、あの女子
大生と似てないか?」
茶山「どれどれ。うーん、どうですかねえ」
灰坂「助手席にいたのは、この男じゃないか?」
茶山「うーん、よく分かりません」
灰坂「おまえ、それでも刑事か」
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#201■白鳥博士の家・サンデッキ
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リクライニング・チェアで身体を伸ばし眠っ
ているクリムゾンX。
マスクを剥がそうと手が伸びてくる。
クリムゾンX、動かない。
マスクが顎の部分までめくれていく。
クリムゾンX「捜し物ですか?」
ビクッとして引っ込むその手はレイナ。
レイナ「(後ずさりして)ご、ごめんなさい」
上体を起こし、マスクを元に戻すクリムゾン
X。
クリムゾンX「いつのまにか眠ってしまった」
レイナ「あのう、二度も助けてもらったのに、お礼を
言いそびれて……」
クリムゾンX「別に構いません」
と、立ち上がりレイナをじっと見る。
レイナ「何か?」
クリムゾンX「改めて見るとなかなかの美人だなと思って」
レイナ「(とびっきりの笑顔で)ほんとに?」
クリムゾンX「(超小声で)げ、喜んでる」
レイナ「はい?」
クリムゾンX「あ、いや。なんでもありません」
レイナ「あなたは、いったい何者なんですか?」
クリムゾンX「ご存じの通り、クリムゾンXです。あいにく
名刺は持っていませんが」
レイナ「(笑って)おもしろーい。冗談も言うんです
ね」
そこに学術書を見ながらくる白鳥博士。
白鳥博士「け……(健と言おうとするが、レイナに気づ
き)、お、レ、レイナ、きとったんか。ク、
クリムゾンX、準備ができたぞ」
レイナ「なあに? その慌てぶり。ふふっ、隠しごと
でもしているみたい」
白鳥博士「いやいや、わしはなにも……」
レイナ「ねえ、おじいちゃん、彼はきてないの?」
白鳥博士「彼って? 健のことかい」
レイナ「他に誰がいるの? 彼に研究を手伝わせてい
るんでしょ」
ゆっくりとその場から離れていくクリムゾン
X。
クリムゾンX「(小声で)あのう博士、先に研究室へいきま
す…」
白鳥博士「(クリムゾンXを見て)ああ、今日は来てな
いのう。大学じゃないのかい?」
レイナ「来てなかったわ。きっとここじゃないかと思
って」
白鳥博士「どこいったんじゃろうな。(ニヤッと)もし
かしたらデートかも知れんぞ」
レイナ「それはないわ」
白鳥博士「ほう、なんで分かるんじゃ?」
レイナ「話を逸らさないで。彼が講義をサボってまで
手伝う研究ってなんなの?」
白鳥博士「そ、それはクリムゾンXのために……」
レイナ「孫の私だけ除け者って、どういうこと?」
白鳥博士「そう言うわけじゃないが、危険が伴うからの
う」
レイナ「それだけ?」