【第23回】第二幕・追撃(12)3対1の交戦………………#173〜#174
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#173■同・ホール
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天井が高く広い空間で、角のほうに喫茶コー
ナーがある。
やってくるクリムゾンX。
反対側からレイナもやってくる。
レイナ「(驚いて)クリムゾンX!」
クリムゾンX「これを!」
と、透明カプセルをレイナへ投げる。
キャッチすると、カウンターの陰に隠れるレ
イナ。
ゴールドス大王の声「お待ち! クリムゾンXッ!」
その大声に振り向くクリムゾンX。
黒ずくめの男がゴールドス大王に身体を掴ま
れ盾にされている。
両隣に立つブロンズンとシルバードが笑って
いる。
恐怖で震えている黒ずくめの男を見るクリム
ゾンX。
カウンターの陰から覗いているレイナ。
ゴールドス大王「さあ、撃てるものなら撃ってみなさい」
黒ずくめの男を見据えるクリムゾンX。
ゴールドス大王「同じ地球人を撃てるかしら?」
次の瞬間、黒ずくめの男の左脚にXビームを
発射するクリムゾンX。
黒ずくめの男「ギャー!」
崩れ落ちる黒ずくめの男。
ゴールドス大王「シルバード!やれ」
シルバードの両腕が肘から外れ、クリムゾン
Xに向かって飛んでいく。
シルバードの両腕に両足をすくわれ、仰向け
に倒れるクリムゾンX。そのまま引きずられ
る。
レイナ「X!」
ゴールドス大王がレイナのほうへ駆け出す。
引きずられながらも、Xワイヤーをゴールド
ス大王に発射する。
ブロンズンが空中に飛ぶ。
切り離されたXワイヤーがゴールドス大王を
大鉈ごと一瞬でグルグル巻きにする。
ブロンズンのキックがクリムゾンXの腹部に
ヒットする。
クリムゾンX「うっ!(よろける)」
縛られて身動きが取れず、あちこちをフラフ
ラしているゴールドス大王。
ゴールドス大王「キィィー」
再び飛び上がるブロンズン。
ブーツに仕込まれたXソードの握り柄を抜く
クリムゾンX。
クリムゾンXをめがけて急降下するブロンズ
ン。
Xソードの刀身が飛び出し、ブロンズンの喉
に突き刺さる。
絶叫して転がるブロンズン。
ゴールドス大王「ブロンズン!」
シルバード「グォオオオ!」
シルバードの両手がクリムゾンXの両足から
離れ元に戻っていく。
這いながら別の出入り口のほうへ向かう黒ず
くめの男。
立ち上がり再びXソードを構えるクリムゾン
X。
のたうち回るブロンズンに駆け寄るシルバー
ド。
喉から緑の血が流れている。
ジャンプしてXソードをシルバードに振り下
ろすクリムゾンX。
右腕すべてが切り落とされるシルバード。
シルバード「グァグォ!」
ゴールドス大王「シルバード!」
切り口からバチバチと火花が散っている。
息絶えるブロンズン。その身体が溶け出して
跡形もなくなる。
ゴールドス大王「むううう! もう許さないわよ」
金色の肌が真っ赤になり、身体中に力が入る
ゴールドス大王。
シルバードの頭部を目がけて回し蹴りをする
クリムゾンX。
勢いよく飛んで柱に頭をぶつけて落ちるシル
バード。
歪な機械音がして動かなくなる。
ゴールドス大王「(怒りに燃え)ウォー!」
全身の力を込め、巻きついたワイヤーをちぎ
るゴールドス大王。
レイナ「クリムゾンX!」
ゴールドス大王、身体に残ったワイヤーの切
れ端を投げ捨てると、クリムゾンXに大鉈を
振りかざし向かっていく。
飛び上がり空中で反転し大王の背後に着地す
るクリムゾンX。
そして、Xビームをゴールドス大王の臀部に
連射する。
ゴールドス大王「ヒャアアアアアー!」
あまりの痛さに跳ね回るゴールドス大王。
追い打ちをかけるクリムゾンX。
黒ずくめの男がゆっくりと立ち上がり、ドア
に手をかけようとしている。
レイナ「(気づき)クリムゾンX、データが!」
クリムゾンX「(黒ずくめの男を見る)!」
と、跳ぶ。
臀部を押さえながら、厨房のほうへ逃げるゴ
ールドス大王。
レイナ「(大王を見て)あ、」
黒ずくめの男の目の前に降り立つクリムゾン
X。
カウンターの陰から駆け寄ってくるレイナ。
黒ずくめの男「なんて奴だ! ヒーローが一般人に怪我させ
ていいのか?」
クリムゾンX「一般人は泥棒をしない。さあ、博士のデータ
を返してもらおう」
黒ずくめの男「いやだと言ったら?」
クリムゾンX「じゃあ、しょうがない」
と、黒ずくめの男の腹部を殴る。
黒ずくめの男「(呻いて)くそっ、何が正義のヒーローだ。
暴力ヒーローじゃないか」
クリムゾンX、黒ずくめの男のポケットから
簡易ハードディスクを抜き取る。
レイナ「あなた誰よ? ヘルメットを取りなさい」
黒ずくめの男、ヘルメットを外すふりをした
後、レイナをクリムゾンXのほうへ突き飛ば
す。
レイナ「(よろけて)あ!」
レイナを受け止めるクリムゾンX。
その隙に左脚を引きずりながら、逃げ去る黒
ずくめの男。
レイナ「(追いかけようと)ちょっと、待ちなさ…」
レイナを引き止めるクリムゾンX。
レイナ「追わなくていいんですか?」
クリムゾンX「これさえ取り戻せばいいでしょう」
と、簡易ハードディスクを空中に放り投げて
Xビームで破壊する。
破片が床に落ちる。
レイナ「良かった、おじいちゃんの研究データが漏れ
なくて。でもあの宇宙人も逃げたみたい」
クリムゾンX「博士のデータのほうが先決だから、仕方あり
ません」
その時、10cmぐらいの円筒形の金属が転
がってくる。
カウントダウンの警告音が鳴り出す。
レイナ「何、これ?」
クリムゾンX「(見つめて)こ、これは! 急いでここから
離れてください!」
レイナ「えっ?」
クリムゾンX「爆弾です!」
レイナ「爆弾? あ、あ、でも、ここのどこかに私の
連れが……」
クリムゾンX「私に任せて、先に逃げてください」
レイナ「は、はい」
出口に向かって猛ダッシュするレイナ。
クリムゾンX、屈んで爆弾を掴み取ろうとす
るが床から離れない。
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#174■同・表
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バイクで逃げる黒ずくめの男。