【第15回】第二幕・追撃(04)嵐の前の静けさ……………#106〜#112
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#106■浅葱山・散策道(翌日)
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木々の間を野鳥が飛んでいる。
景色を見ながら、ゆっくり歩いているゴール
ドス大王、ブロンズン、シルバード。
何やら片手を頭上で回しているブロンズン。
ブロンズン「動き回って大丈夫ですかね? 大王様」
ゴールドス大王「気分転換も必要よ。ブロンズン、さっきから
何してるのよ?」
野鳥が飛んできてブロンズンの手に止まる。
ゴールドス大王「(感心して)やるわね」
ブロンズン「恐縮です。(得意気に)実は鳥を呼び寄せて
手なづける事ができるんです」
ブロンズンの肩に止まる野鳥。
ゴールドス大王「ふーん、それほど役に立つ特技とは思えない
わ」
ブロンズン「(傷ついて)へへ……ですよね」
シルバード「(何かに)グォッ!」
驚いて飛び立つ野鳥。
ゴールドス大王「どうしたの!」
視線の先に散策中らしき中年夫婦。
大王たちをじっと見ている。
レイザーガンを構えるブロンズン。
ゴールドス大王「(制して)おやめ。アジトの近くで面倒はま
ずいわ」
それぞれ見合っている。
軽く会釈する中年夫婦。
つられて会釈を返す大王たち。
夫「(大王たちの身装に目を配り)……あのう、
“欽ちゃんの仮装大賞”に出るんですか?
実は家内も出演した事があるんですよ」
ゴールドス大王「あ、いや…ど、ど、“どんたく”ですたい」
妻「あら、そうですかあ。頑張ってください」
また会釈をして、下の道へ降りていく中年夫
婦。
ホッとする大王たち。
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#107■F大学・ある教室
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講義前、続々と学生たちが入ってくる。
次第に席が埋まっていく。
レイナが入ってくると同時に、雄司がくる。
レイナ「教室を間違えてるわよ」
雄司「あいつは?」
レイナ「(とぼけて)あいつって?」
雄司、見回すが健の姿はない。
雄司「きてないのか?」
レイナ「知らないわよ」
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#108■白鳥博士の家・研究室
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ソファーで丸くなり眠っている健。
白鳥博士は製作を続けている。
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#109■宇宙船・内部
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ディスプレイに向かい、TVゲームをしてい
るゴールドス大王。
ゴールドス大王「フオッ、フオッ、フオッ。こんなおもしろい
物はみたことないわ」
そんなゴールドス大王を呆れて見ているブロ
ンズンとシルバード。
ブロンズン「あのう、大王様…」
ゴールドス大王「分かってるわよ。後であんたたちにもさせて
あげるわ」
と、ゲームの中の敵を撃つ。
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#110■87分署・射撃訓練室
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的に向けて次々と撃ち込んでいる灰坂。
そのほとんどが命中している。
防音の耳当てを外す灰坂。
茶山がやってきて拍手をする。
茶山「この前の強盗が運転するマイクロバスを狙っ
た時と大違いですね」
灰坂「うるせえ、あれは“弘法も筆の誤り”なんだ
よ。それより何か動きでもあったのか?」
茶山「いえ、静かなもんです」
灰坂「嵐の前の静けさじゃないだろうな」
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#111■F大学・駐輪場
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並んだ自転車を見ながら歩いているレイナ。
理恵が小走りでやってくる。
理恵「レイナ、ここにいたの? 携帯にも出ないし
…捜してたのよ」
レイナ「あ、ごめん」
理恵「みんな待ってるわよ。…なんでこんなところ
にいるの?」
レイナ「いや別に…いこうか」
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#112■白鳥博士の家・研究室
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製作を続けている白鳥博士と健。
白鳥博士「よし、よし。もうすぐ完成じゃ」
健「1時間前も同じこと聞きましたけど」
白鳥博士「そうじゃったかのう?」