【第11回】第一幕・襲撃(11)道での遭遇…………………#075〜#082
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#075■街はずれの丘陵地(夕方)
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周りは薄暗くなっている。
緩やかなカーブを走る白鳥博士の古めかしい
車。
カーラジオからニュースが流れている。
アナウンサーの声「……複合商業施設『ブルーノア』で起きた騒
動はテロの疑いもありますが、犯人と思われ
る者たちの行方は、依然として分かっており
ません。なお目撃者の話によりますと、その
犯人たちと戦った人物がいたということです
が、詳細は不明です。続きまして……」
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#076■博士の車・中
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突然、雑音が入りニュースが聞こえにくくな
る。
白鳥博士「ん? なんじゃ」
チューニングをやり直す白鳥博士。
酷くなるばかりの雑音。
急に速度が落ち、止まってしまう車。
白鳥博士「はぁ? どうした。ついにイカレタか、ポン
コツめ」
キーを回すがウンともスンとも言わない。
後方から光が差してくる。
後ろも見ず窓から手を出し、お先にどうぞの
合図をする博士。
通り過ぎる光。
白鳥博士「困ったのう」
また、後方から光が差してくる。
白鳥博士「仕方がないのう、後ろの車に助けてもらうと
するか」
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#077■道路
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外に出て手を上げる白鳥博士。
それは車のヘッドライトではなく、浮遊する
光の球体。
白鳥博士「(見上げて)うぉ?!」
博士の頭上を一周すると飛び去る光の球体。
呆然と見送る白鳥博士。
3つ目の球体が飛んできて、そんな博士を追
い越していく。
白鳥博士「(閃いて)そうか!」
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#078■博士の車・中
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急いで車内に入り、キーを回す。
ブルンブルンと揺れる車体。
白鳥博士「やっぱりな。そうか、あの光る球体は…」
と、走り出そうとする。
ヘッドライトが照らす先に人影が現れる。
白鳥博士「道の真ん中で危ないのう、今度は幽霊か?」
フラフラと近づいてきて、ボンネットの上に
倒れる人影。
白鳥博士「おい、どうした?」
と、外に出る。
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#079■道路
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ボンネットからずり落ちる人影。
それは傷を負った健。
意識が朦朧としている。
白鳥博士「(触って)君ぃ、大丈夫か?」
健「(微かな声で)レ、レイナ……」
白鳥博士「な、なんじゃと?」
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#080■丘陵地の先
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道路に沿って飛行する3つの光る球体。
ゴールドス大王の声「んん?」
ブロンズンの声「大王様、どうかしましたか?」
ゴールドス大王の声「うむ、さっきの車どうも引っかかるわ」
ブロンズンの声「引き返しますか?」
ゴールドス大王の声「今日は疲れたから、もういいわ。それにして
もクリムゾンXとかいう奴、しつこかったわ
ね」
ブロンズンの声「まったくです。ボコボコにしても追いかけて
くるとは。でも終いには力尽きたというか」
シルバードの声「グォオ〜」
ゴールドス大王の声「まったく信じられないわ」
ブロンズンの声「今頃はきっと尻尾巻いて逃げてますぜ」
ゴールドス大王の声「そうよねえ、我々にかなうわけないよね〜」
ブロンズンの声「おっしゃる通りです、大王様」
ゴールドス大王の声「うむ。さあ、アジトに戻ってゆっくり休むわ
よ」
アジトである浅葱山が見えてくる。
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#081■新聞社・印刷工場
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高速で回る輪転機。
第一面を賑わす複合商業施設『ブルーノア』
での事件。
監視カメラの映像からの転写があり、破壊を
する大王たちの姿が写っている。
さらに大きく掲載されている写真には青い天
使の像を支えているクリムゾンXと女の子を
抱き上げるレイナ。
来場者が逃げながら撮ったと思われ、かなり
ブレていてレイナかどうか判別できない。
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#082■丘陵地(夜中)
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真っ暗な道をレイナの白いポルシェが走って
いる。
“第二幕・追撃”に続く。