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観光万歳2

昨日ミスって6話投稿してましたので、今日はこの4話で終了ですm(__)m

 植物を用いた建築とは違う建物が連なる獣人の村は、岩を砕いて建築資材にした事が察せられ、中々に興味深い。中世時代のスコットランドを彷彿とさせる建物が多いと言えるだろう。そして、そこで暮らす人々の生活スタイルも、これまで見たものとは一線を画す。

 服装も中々面白い。上半身の背中部分だけが露出している服装が大半を占め、露出した部分にはフサフサな毛が生えているのが分かる。

 他にも生活の中でする様々な匂いが、これまでとは全く違っていてワクワクして仕方がない。恐らくは使用する香辛料の種類が多いのだろうが、それを一つ一つ確かめたくなる程だ。


 そんな風に気を惹く物ばかりなのだが、一番気を惹くのが当然の如く人種の違いだった。エルフ、ドワーフ、ヒューマンという地上で暮らす人類とは全く違う容姿には目を惹かれてしまうのは仕方がない。

 此処に住む人達には尻尾がある。それも一種類ではなく、ウサギのような尻尾だったり猫のように長く細い尻尾だったりと、それはもう多種多様だ。獣人の背中には臀部に至るまで毛が生えており、臀部からは尻尾が生えているのが大きな特徴。

 だがしかし、決して頭部に耳が四つあるという事はない。つまり、猫耳や熊耳と言った感じでの耳は存在しないという事だ。他の人類と同じで顔の横に二つ耳があるだけであり、そこが少し残念に思う部分だと言えるだろう。


 そういう若干ガッカリする部分もあったが、それ以外では実に楽しい潜入だった。出来ればこのまま宿でも取って泊まりたい程だ。

 そんな風に獣人の村を満喫していた俺に相反して、ふと気付けばメンバー達が少し緊張気味な表情を浮かべていた。警戒しているような雰囲気さえある。

 当然、ついさっきまで楽しんでいたメンバーが急にそんな感じに変化すれば疑問を抱くのが普通。そのまま気になるところを散策しようだなんて考えにはならない。

 それ故、人が居ない路地裏に移動してその理由を尋ねた。


「ハルが気付いたのじゃが、同じ匂いがずっと付いて来ておるらしいのじゃ。妾や他の者には気付けん事なのじゃが、恐らくハルが鬼人という種族だから気付けたのじゃろうと思う」


「えぇと、つまり追跡されてるって事?」


「だと思います。アキとフユが居れば直ぐに分かると思いますが、生憎二頭は村の外で待機してますし………」


 ブリュンヒルデの言う通り、アキとフユは潜入には向かないので村の外で待機してもらってる。匂いに敏感な二頭を頼りに行動出来ないという訳だ。

 しかし、それはそうと鬼人が種族的に鼻が利くとは知らなかったので驚いた。そもそも鬼人という種族をメンバーの誰も知らなかったので、ハルちゃんの種族に関しては未だに謎が多い。

 それとは正反対に、ナっちゃんのヴァイパイアという種族は有名らしく、そこそこの情報があった。まぁそうは言っても、このダンジョンでヴァイパイアは見た事も聞いた事も無いらしく、生前に住んでいた世界で聞いた情報なのだそうで、それがナっちゃんの種族進化したヴァイパイアと同じかどうかは分からないが。


「追跡………尾行………。少し怖いね。それじゃあ潜入調査は中断って事で、一度この村から撤退しよう」


「ですです。ウチもそれがいいと思いますぅ」


「テティスはビビり過ぎだと思うけど、念の為にって意味合いでは僕も同意」


「ワタシもそう思うわ。無暗に藪をつつくのは知恵の足りない浅はかな者がする事だしね」


 特に反論も無く、俺の提案は素直に受け入れられた。以前に超越者と対峙した事もあったので、全員がそれなりに警戒している証左だと言えるだろう。


「よし、それじゃあこのまま外に向かって静かに進もう」


 別に入る時と同じルートで逃げなければならない訳じゃない。此処は村であって決して大きな街ではないのだ。警備はザルだし、そもそも警備兵が存在しない。村の規模であれば、村人が交代制で門番をするぐらいなので、その門を使用せず外に出ればいいだけの話である。という訳なので、俺達はただ単純に村を囲う壁を飛び越えるだけだ。

 今回の旅で何度も繰り返した潜入によって慣れた俺達の行動は極自然で、誰に怪しまれる事も無いままに壁に辿り着けば、誰も見ていない事を確かめて壁を難なく飛び越えた。


 そしてその後は、アキとフユが待機している場所まで移動し、無事に合流出来た。二頭は俺達の身体から漂う香辛料の匂いが気になるらしく、少し執拗なくらいに匂いを嗅がれたがそれぐらいで他には何も反応を見せない。つまり、追跡されてはいないという事だ。

 しかし、それでも尚警戒するヘルとブリュンヒルデに頼まれた二頭は、周辺の匂いを嗅いで暫くは集中していた。だがやはりというべきか、俺達を尾行していた者は既に居なくなっていたらしい。


「どう思う? 俺達の事が明確にバレていれば問答無用で攻撃されていただろうし、そうなると少なくともバレてないって考えていいと思うんだけど」


「うむ、そうだろうな。ワタクシもそう思う」


「恐らく、村の中に見慣れぬ者達が居たので注意していたんでしょう」


「ウチもヘルさんとブリュンヒルデさんに同意しますぅ。きっともう大丈夫ですよー」


「アタシも大丈夫だと思うよ。もう匂いはしないし」


 アキとフユも追跡者は居ないと言うし、ハルちゃんもそう言うのだから問題無い筈だ。やはり見慣れぬ人物を見掛けたので、少し注意して見張っていたという感じなのだろう。

 そう結論を下した俺達は、そのまま村を後にしてアイリス国の王都を目指して出発した。中に入れるなら入って観光したいと思うが、流石に王都への潜入は無理だと考えるのが妥当なので、せめて遠くからでも眺める為に王都を目指す。

 今回の旅は本気で観光だと断言してもいいので、見れるところは全て見たいと思っている。伝説では、此処にはドラゴンが棲む場所もあると言い伝えられているし、出来ればそこも見たいと考えている。


 この近辺に出現するモンスターが少し強いのも中々にいい。程好い感じで経験値稼ぎを出来るし、見聞を広める為とレベル上げの為と楽しむ為と、何をもってしても最高の旅であると言えるだろう。

 倒したモンスターは勿論解体し、素材も回収するので決して無駄にはしない。移動の最中に発見する植物もそうだし、実りある旅なのだ。

 そうやって進む事一週間程して、漸くアイリス国王都へと辿り着いた俺達は、王都を一望出来る高さの山を狙って登り、そこから目的の一つであった王都を眺めた。ヘルとブリュンヒルデの二人が一度は見てみたいと言っていた理由がよく分かった。


「スッゲェ………王都のど真ん中に巨大な湖があんのかよ。しかも何故か真っ白な水だし、あれって何で乳白色なんだ?」


「岩山から溢れる水は、どうしてなのか最初から乳白色なのだそうです。そしてあの水で身体を清めれば、女性であれば美しくなり、男性であれば逞しくなると言われています」


「素晴らしいだろ? この光景をワタクシとブリュンヒルデは見たかったのだ」


 不思議な光景だった。巨大な湖のど真ん中に島があり、その島に立派な王城がある。そして湖の周りには、沢山の家々が軒を連なっていて、その家々の外側に巨大な壁が守るように周囲を囲んでいる。

 これは言葉で語るには難しい。文章にするのも難しい。映像にしたとしてもこの感動を完全に伝えるのは不可能だろう。


 いつまでも長く目にしていたい光景だった。メンバーの皆もそうなのだろう。誰も彼もが感嘆していた。

 しかし、こうやって心底感動しながら眺めているというのに、不粋にも邪魔する存在が居た。モンスターの登場だ。

 ずんぐりむっくりな肉体をゆっくり動かし、毛深い毛並みからちょこんと一本の角を誇らしげに見せるモンスターは山羊に似たモンスターで、それは登場間もなくメンバーからボッコボコにされていた。不粋な事をするから仕方ない。襲うにしても時と場所を選ぶべきだ。


 何はともあれ、少し感動がモンスターの登場により薄れてしまったが、とても素晴らしいものを目に出来たと言っても過言ではない。出来れば伝説のドラゴンの棲み家も感動出来る場所であって欲しいと願うばかりだ。

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