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重い現実

 驚愕の事実を知って直ぐに掲示板にその情報を書き込むと、その瞬間から掲示板内は阿鼻叫喚の地獄絵図となった。

 罪悪感に嘆く者や後悔の念に苛む者と言った感じで色々な反応を示し、何故スケルトンとのテイム契約を切ってしまったのか、厳しくし過ぎたかもしれない、もう少し優しくするべきだったかも、等々のコメントで溢れる始末。

 そして更には、倒したモンスターにまで申し訳ないと感じる者も現れたのだから、そのショックは非常に大きかったと言えるだろう。


 だが、俺がその考えに待ったを掛けた事で事態は少し冷静さを取り戻す方向へと傾く。

 確かに黄泉の世界に居たのは間違いないし、その黄泉の世界に居た存在は何かを願っていたからこそ迷宮内にて第二の生を授かっていた訳なのだが、それは言ってしまえば俺達と同じ立場であり、そんな存在と戦い合ってしまうのはこの迷宮という世界での自然の摂理なのだから仕方ない事なのだと説いたのだ。

 そしてこの世界の知的生命体は……いや、知的生命体だけではなく全ての存在が、テイムされた場合には主人に仕える事を神様と約束してこの迷宮に来ているので、彼らにも覚悟があった事は間違いないとも説いた。

 すると殆どの挑戦者達が落ち着き始め、次第にそれぞれに考察して自分の意見を述べる者達が増えると、その時には完全に落ち着きを取り戻していた。


 しかしそれでも、テイム契約を既に切ってしまった者達はもう取り返しがつかないと自責の念に苛む者も少なからず存在した。こればっかりはどうしようもないので、そんな者達には俺としても何もアドバイスは出来ない。

 だが、挑戦者達がテイムし始めてから割りと直ぐに、使い魔にも様々な趣味嗜好があると判明して確かな心があるのだと理解していたからか、全ての挑戦者達が酷い扱いをしていなかった事が幸いして全体の精神的ショックは小さく済んだ。

 因みに、人間は生前と変わらぬ人間としてダンジョンで目覚めるが、その例外としてスケルトンやゾンビなども生前は人間であったらしく、どうしてそんな立場の違いがあるのかは判明していない。これは俺の推測でしかないのだが、第二の生を受ける時に願っていた思いの違いによって、生前と同じ姿なのかモンスターとしか思えない姿になるのかが決まるのだろうと考えている。

 とは言え、いくら姿が変わると言っても、第二の生で狼になったりする訳ではない。あくまでも、人間が死後になってしまう存在に限り、変化する訳だ。つまり、第二の生でスケルトンになってしまった場合なら、生前の生まれ持った骨格の骨を主体にスケルトンという種になるし、ゾンビの場合なら生前に生まれ持った肉体が腐った状態の死者であるゾンビになってしまう訳だ。


 何はともあれ、大事件へと至ってしまった今回の挑戦者達を尻目に、ふと気付けば新参者のヘルとブリュンヒルデを加えたパーティーメンバーが和やかにお菓子とお茶を口にしていた。

 この大きな差にガックリと疲労感を感じて、俺は心底苦笑してしまう。これ程に精神的疲労を感じたのは生まれて始めてかもしれない。


「な、なななな何なのだコレは?! ブリュンヒルデ、そなたも食べてみよ!」


「こ、これは?! ただの芋菓子がこれほど美味になるとは知りませんでした!」


「うむ。これは驚異的な事だぞ!」


 ポテトチップスを食べて大袈裟としか思えないリアクションを見せるヘルとブリュンヒルデ。

 するとそれを見て興味を持ったのか、アキとフユが自分達にも頂戴と二人にねだり始める。その仕草は巨大な姿形からは想像出来ないくらいに可愛らしく、それに根負けしたようで二人は渋々分け与えていた。

 ブリュンヒルデはいつの間にかトラウマを克服していたようだが、もしかするとトラウマと言える程のショックは元から無かったのかもしれない。或いは、使い魔となって冷静さを取り戻した事で、仲間意識が芽生えて仲良くなっている可能性もあるだろう。


 まぁ何はともあれ、先々の事を考えるとメンバー間の仲がいいというのは嬉しい事実に違いない。出来るならば、重い情報を俺が知って書き込むのではなく勇者が先にしていてくれたら、この目の前の光景に心から和めていたのたが。

 そう少しの愚痴を内心で呟きながら、俺は再びパソコンのモニターへと視線を移し、新参者であるヘルとブリュンヒルデのステータスを見詰める。



★★★★★★★★


level:0


名前:ヘル


性別:女


種族:ヒューマン


スキル:古代魔法0


武器:オリハルコンの剣


盾:オリハルコンのカイトシールド


頭:オリハルコンの兜


胴:オリハルコンの胴鎧


腕:オリハルコンの手甲


足:オリハルコンの足甲


装飾:オリハルコンのネックレス(身体強化・特大)、オリハルコンのピアス(魔力増量・特大)、オリハルコンの腕輪(体力増量・特大)



level:0


名前:ブリュンヒルデ


性別:女


種族:ヒューマン


スキル:槍術0、火魔法0


武器:ミスリルの剣、ミスリルの槍


盾:ミスリルのカイトシールド


頭:ミスリルの兜


胴:ミスリルの胴鎧


腕:ミスリルの手甲


足:ミスリルの足甲


装飾:ミスリルのネックレス(魔力操作・大)、ミスリルのピアス(魔力感知・大)、ミスリルの腕輪(魔法抵抗・大)


★★★★★★★★



 見た目が派手な装備だなとは思っていたが、これ程に凄まじい性能の装備だとは一切想像もしてなかったので、これには素直に驚愕させられたと言えるだろう。

 ミスリルやオリハルコンなど正にファンタジーの鉱物で造られた装備だし、装飾品の性能など俺達のと比べれば雲泥の差だ。


「スッゲェ……! 流石は一国の姫と騎士隊長って感じだね」


 DPに換算してどれだけになるのか、もう俺には予想外過ぎる代物なのは間違いない。少なくとも、10000000DPを易々と越えてしまうのだろう。

 そして更に驚くのが、最初からスキルを身に付けている事。通常スキルというのは、余程に運が良くないと手に入れられないものらしく、それは生まれつきのものであるのだそうだ。

 ブリュンヒルデはそのスキルを二つ持っており、ヘルは一つだがDPでアホみたいに高かった古代魔法である。古代魔法がどんな代物なのかは謎であるが、馬鹿高い魔法だったのは間違いないので、きっと凄い効果のある魔法なのだと予想している。


「国のトップに立つような者達だからこそ、こんなに有能なんだろうね。代々受け継いだ血筋の成せる業ってヤツだろうなぁ」


 これなら買い与えるスキルも少しは節約出来るし、装備など買う必要は皆無。と言うか、二人が現在装備している以上の物は用意出来ない。

 なので、俺達が身に付けているスキルを二人に買い与えて終わりって事でいいだろう。

 そう思って魔力増強だったり精力増強だったり、他にも剣術や槍術を買い与えた結果、二人のステータスは取り敢えず現状は決定した。



★★★★★★★★


level:0


名前:ヘル


性別:女


種族:ヒューマン


スキル:盾術0New、剣術0New、古代魔法0、火魔法0New、剛体力New、軽業New、体制術New、精力増強New、魔力増強New


武器:オリハルコンの剣


盾:オリハルコンのカイトシールド


頭:オリハルコンの兜


胴:オリハルコンの胴鎧


腕:オリハルコンの手甲


足:オリハルコンの足甲


装飾:オリハルコンのネックレス(身体強化・特大)、オリハルコンのピアス(魔力増量・特大)、オリハルコンの腕輪(体力増量・特大)



level:0


名前:ブリュンヒルデ


性別:女


種族:ヒューマン


スキル:盾術0New、剣術0New、槍術0、火魔法0、剛体力New、軽業New、体制術New、精力増強New、魔力増強New


武器:ミスリルの剣、ミスリルの槍


盾:ミスリルのカイトシールド


頭:ミスリルの兜


胴:ミスリルの胴鎧


腕:ミスリルの手甲


足:ミスリルの足甲


装飾:ミスリルのネックレス(魔力操作・大)、ミスリルのピアス(魔力感知・大)、ミスリルの腕輪(魔法抵抗・大)


★★★★★★★★


 これでDPの貯蓄はほぼ無くなった。

 まぁ、そうは言ってもまだ500000DPくらいはあるので、飢える事はないし直ぐに稼げば問題ない。

 ヘルとブリュンヒルデのレベル上げに一階層とか二階層で戦闘を繰り返した後、更に先の階層で充分にレベルを上げた頃には再び貯蓄が潤沢になっているだろう。

 今日は色々と精神的に疲れたので、もうレベル上げに行くつもりはないし情報を入手する為に質問を繰り返すつもりも無いが、それらは全て明日の自分に任せる事に決めた。


「あ、彼女達の部屋は作らないと不味いか」


 明日の自分よ頑張ってくれ、などと思い視線を天井に向けた瞬間に気付き、俺は渋々部屋を作り始めた。勿論、ヘルとブリュンヒルデに要望を聞いた上で製作したのは言うまでもない。

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