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27.勘違いだった

シリアスです。

「そろそろ目覚める頃だな」


 !!この声は……あの、デブ貴族…??そいつが私を誘拐した?でもなんで?


「あんなに生意気だった小僧が今どうしているか、想像してみただけで……ははっ!いい気味だ!」


 はぁ、また面倒なことに……。あ、こっちに来た。


「お、やっぱり目覚めたんだな。ははは!どうだ!縛られる感想を聞いてやってもいいぞ?」


 今すぐにでも出ていきたいんだが、その前に情報とでも聞き出すか。さ、演技タイムだ!


「……な、なななんで私を、ここに……!わ、私を殺さないで!!」

「あ゛あ゛ん?貴様のせいで俺様が冒険者の資格を失ったんだ!殺すくらいで許すものな!フェッグピース男爵子息である俺様を怒らせた罰をじっくり味わうといい!」


 ああ、察し。おそらくこれまで依頼を何回も放棄したのと、今回のことで冒険者の資格を奪われたんでしょうね。ってか、フェッグピース?ピッグフェースの間違いかな?

 さて、次は。


「な、仲間!私の仲間はどこ?!」

「仲間だあ゛?……ああ、貧相なアレか。煩かったから適当に森で捨てたな。弱っちい小娘だ、今はシルバーウルフのお菓子にでもなってるんだろうな。くくくっ」


 なっ!?アリスが危ない!とっくに切った縄を外して、アイテムボックスから取り出した剣をデブ貴族の喉に当てた。


「なっ、ななななっ、き、貴様、どうやって…?!」

「……だ」

「な、何だ!」

「どこの森だって聞いてるんだ!」

「ひっ」


 ……言わないのか。


「早く言った方がいいよ。このままだとうっかり手が滑っても、知らないから」

「ひぃっ!!い、言う!言うから!命だけは…!」


 殺気を少し放っただけでもうこうなったなんて……。よくも誘拐なんかする度胸があったな。


「き、今日受けた依頼の森だ!言ったから、命だけは…!」

「ちっ」


 あの変種シルバーウルフのとこか。変種シルバーウルフはもう殺されたのはせめての救いか。だが他の魔獣や野生動物もいるから、とても安全とは言えない。


「ここで大人しく反省しろ」


 デブ貴族に防視・防聴・防脱走の三重結界をかけて、そのまま地下牢に放置した。こいつを処置するのは後だ。今はまず一刻も早くアリスを探しに行かなきゃ。今はもうすぐ夕焼け。夜になったらさらに危なくなるから、早くしなきゃ。


◇◆◇


 森で探して探して、夜になってやっとアリスを見つけた。


「アリス!」


 ……傷だらけ…!擦り傷、そして動物の噛み跡みたいな傷も……。

 よくも……!……フェッグピース男爵子息だな。覚えたよ。覚悟するといい!


「《治癒》」


 アリスに治癒魔法をかけてあげたけど、過剰失血ゆえか、目が覚めない。



 孤児院に帰って休ませようと、アリスを背負って孤児院の後ろの敷地に転移した。そのまま入ろうとしたとき、中から話し声が伝わってきた。


「……もう…んな時間…のに……まだ帰って…ない……」

「……マリア…アリス…ことか……」


 この声は、シスターと……院長先生…?こんな夜中にまだ寝ていないなんて珍しいな。私とアリスの名前が出てきた気がするけど……もしかして私たちのことを待っている、とか?

 気配を消してもっと近づいた。


「あの子らならもう帰らん。もう待つな」

「……どういう意味ですか」


 ……は?もう帰らないって、私たちが?


「お、お前が気にすることではない」

「いいえ!子供に関わっているなら、教えてください!」

「……あの子らは、もしかしたら……もう……」


 ……ま、まさか…!


「!?どういうことですか!!」

「しー、大声出すでない。……今日、午後に男爵夫人と名乗る女が、マリアを寄越せとどこぞの喫茶店のクーポンと銀貨を五枚俺に渡した。アリスは……マリアに怪しまれないようにアリスで誘き出し…」

「マリアを……売ったんですかっ!それも何も知らないアリスを利用して!このっ、人でなしっ!」


 ……やっぱり……グルだったんだね。……だからおかしいって思ったんだ。院長みたいな五十代で未婚な男の人がどこからかわいいカフェのクーポンなんかを手に入ったんだろうって。


「し、仕方ないだろう!そうしなければ俺を殺すって脅かされたんだ!」

「だからって相談くらい…」

「ええい!喧しい!ガキを一人や二人犠牲にすれば俺が生きていられるんだ!何が悪い!」

「なっ!?……あなたは、最っ低です!」


 ……勘違いだった。例え血の繋がってなくても、家族みたいって勝手に思ってたけど……私の勘違いだったんだね。所詮、血の繋がりのない、他人だから。


 ……出て行くよ。今から私は、もうこの孤児院とは何の関係もない。だからっていうのはちょっと違うけど、匿名で寄付するのももうしない。子供たちには申し訳ないけど……私も正義の味方なんかになるつもりはないから。こんな人がいるって知っていてもお金を与え続けるほど、私はお人好しじゃない。

 シスターは……最初から最後までいい人だった。……自ら多福を求むことができますように。さようなら。お元気で。


 今の行く当ては……あそこしかない、か。……なんか……私って無力だなって、痛感したな。

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