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第448話 面白い趣向

 用件が済んだ紅葉は明日の立ち合いの準備で学校へ向かうことにした。

 キャスティルは参考書を手にしながら、ソファーで横になりながら剣道のルールについて頭に入れている。


「お望みなら、剣に精通した者を召集してもいいニャ~」


「たかだかスポーツの試合で呼べるか」


 実戦ならまだしも、ルールが設けられているスポーツの分野で剣星や剣神と謡われる実力者の神を召集できるかと白猫のミールの申し出をキャスティルは雑に拒否する。

 怖いもの見たさで拝見したいと思う時雨であったが、キャスティルも剣が専門でないにしろ実力は相当なものだ。


「うっかり加減を間違えて殺してしまったなんて洒落にもならんからな。私ぐらいの非力な女神で間に合っている」


「非力……ですか」


 何の冗談だろうと時雨は言葉を詰まらせてしまう。

 白猫のミールに至っては、「ニャハハ、面白い冗談だニャ~」と腹を抱えて笑っている。

 殺意の眼差しで見つめるキャスティルに時雨は修羅場になるのを予見して咄嗟に白猫のミールを抱えて、その場を退散する。


「怒らせちゃダメですよ」


「いつものことだニャ~。それに時雨君もキャスティルに色々とツッコミ入れたかったのは分かってたニャン」


「それはまあ……」


 時雨の心を見透かしている白猫のミールに反省の色はない。

 まあ、それは今に始まったことではないので諦めるしかない。


「さて、今晩は少々面白い趣向を思い付いたから時雨君と加奈君に付き合ってほしいニャ」


「面白い趣向?」


「ふふっ、きっと気に入ってくれると思うニャン」


 そのまま、上機嫌で廊下を駆け抜ける白猫のミールは玄関扉のノブを器用に開けて外へ出かけて行ってしまった。


(何を企んでいるのやら……)


 発想は近所の悪戯小僧と変わらない気がする白猫のミール。

 面白い趣向とやらが何なのかは分からないが、ろくでもない事なのは安易に想像ができてしまう。


「近くのコンビニで買い物でもして来ようかな」


 キャスティルの機嫌を直すために彼女が吸っている煙草でも買って、白猫のミールや加奈には今晩の趣向とやらに合わせて甘いお菓子とかを用意しておこうと時雨も玄関先へ向かう。

 一応、リビングの掃除をしていた時にキャスティルが愛用している煙草の銘柄は記憶しているし普段なら煙草は買えない未成年だが、大人の女性であるミュースの姿なら問題ないだろう。

 玄関先の扉を開けると、セミの鳴き声と共に蒸し暑い質感が肌に伝わって来る。

 一瞬、外へ出るのを躊躇ったが、ここは皆のために我慢して後でシャワーでも浴びようと時雨は買い物へ出かけた。

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