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第44話 報告

 事細かく時雨と凛の関係が明かされた事をメールで伝えると、しばらくして凛から電話が返ってきた。


「迂闊だったわ。あの時は誰かに見られているって意識がなかったから……」

「データは消してくれたので、加奈は誰にも言うつもりはないと思いますよ。他に誰か見ていたら、私が憧れの凛先輩を連れ込んで演劇を申し出たと言います」

「それは駄目よ!? 時雨に迷惑を掛けたくない」

「いいんですよ。それに、転生した証拠は私達の記憶だけですから、これが一番ベストな方法です。下手に私を庇うより、我儘な後輩の戯言に付き合った事にすれば、自然な流れです」


 今のところ、凛は誰からも追究されていないので大丈夫だと思う。

 仮に加奈以外で見られていたとしても、時雨の用意した我儘な後輩を演じれば、笑い話で済ませられる。

 凛はもどかしい思いで葛藤すると、しおらしい声で時雨の案に賛同する。


「分かった。加奈さん以外に訊ねられたら、時雨の考えた通りに実行するわ」

「ええ、よろしくお願いします」


 二人の関係性について話がまとまると、時雨は次に紅葉の件に移った。

 凛と紅葉は同じ剣道部の所属で触れ合う機会は多かった筈だ。

 当然、凛は紅葉が転生者だと気付いていたと思ったが、時雨の勘は外れた。


「えっ!? 紅葉が転生者で、しかもリュールだったなんて信じられないわ」

「ご存知なかったのですか?」

「紅葉とは同じクラスメイトでもあるから、一日に何度も接触して会話もしているけど、時雨と初めて出会った時のような感覚はなかったわ」


 同じ転生者同士でも時雨と凛のように共鳴はしなかったのは何か法則性があるのだろうか。

 時雨はてっきり、紅葉と凛は互いに女騎士リュール、シェラート姫と認識しているものだと思っていた。

 その辺りの事情を含めて、時雨は凛に明日の紅葉との話し合いの場に同席を願った。


「明日、詳しく話す機会を伺うつもりですので、凛先輩も同席してもらってもいいですか?」

「勿論よ。私達の会話が聞かれていた事も驚いたけど、紅葉がリュールだったなんて今日一番の驚きだわ」

「それは私も同感です。もしかしたらですが、まだ私達の知らない転生者がいたりするかもしれませんね」


 凛は快く承諾してくれた。

 時雨と凛以外にも転生者が存在しているのだから、時雨は他にもいるのではないかと勘繰ってしまう。


「……まあ、歓迎できる相手ならいいけどね。私達を崖から落とした敵国の人間なら許せないわ」


 凛は電話口から静かな怒りを込めると、それは時雨も同感であり頷いて答えた。

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