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第429話 運転免許更新

 時雨の肩からシェルダーバッグに白猫のミールは入り込むと、当初の目的だった警察署で運転免許更新へ足を向ける。

 喫茶店の女神が白猫のミール用にペットボトルの飲料水とスカーフに保冷材を巻いた物をもらっていたので、暑さ対策は万全だ。


「バッグの中は暑くないですか?」


「大丈夫ニャ~。キャスティルも言っていたけど、私は太陽に突っ込んでもサウナに入るぐらいの感覚だから安心していいニャ」


 時雨が心配そうに声を掛けると、ショルダーバッグから顔をひょっこり出して白猫のミールは快適な様子だ。

 しかし、恒星の太陽をサウナ感覚とは恐ろしい女神様だ。


「更新手続きが終わるまで、大人しく箱入り娘を演じているから早く済ませて昼食を食べに行こうニャ~」


「あんなにかき氷を食べたのに胃袋は大丈夫なんですか?」


「ニャハハ、それも心配無用ニャ~。それよりも、時雨君が熱中症にならないか心配だニャ」


「こまめに水分補給はしますので、危ないと思ったらミールさんに自己申告しますよ」


「それがいいニャ~。それじゃあ、私はしばらくバッグの中にいるから無理しないでニャ~」


 呑気な笑い声を上げる白猫のミールは再びショルダーバッグの中に身を隠す。

 この様子なら、白猫のミールの心配より自身の体調管理を心配した方がいいかもしれない。

 警察署までは十字路の大通りを突き抜けた先にあるのだが、その手前に小さな書店があるのに気付いた。

 時雨はその小さな書店に立ち寄り、漫画コーナーから数冊の漫画を購入する。

 購入後、時雨は人目が少ない裏路地に入るとシェルダーバッグを開けて先程の漫画を白猫のミールに与える。


「ミールさんが気に入っていたアニメの漫画になります。バッグの中は退屈だと思ったので、よろしければ暇潰しにどうぞ」


「おお! 時雨君は気が利くニャ~。有り難く読ませてもらうニャ~」


 白猫のミールは嬉しそうに漫画を受け取ると、喜んでもらえて何よりだ。


「時雨君のそういう気遣いは女子にモテると思うニャ~」


「そんな……これぐらいは大した事ありませんよ」


「ニャハハ、謙遜しなくてもいいニャ」


 身の回りの世話役は前世から身に付いていたので、時雨自身モテている自覚はあまりないので、ミールの言葉は冗談半分に受け取っていた。

 再びショルダーバッグを閉めると、裏路地を抜けて問題なく警察署まで到着する。

 館内の案内板によると、運転免許更新手続きは別館に設けられているようだ。

 時雨と同様に運転免許更新に訪れたであろう人達が別館へ足を運ぶのが見えると、時雨もその後に続いた。

 そして、別館に辿り着いた時雨は思わぬ人物と再会を果たす事になる。


「げっ……何でお前がここにいるんだよ」


 以前、時雨達がキャスティルのマンションで騒いだ時に階下層から苦情を申し出て来た派手な青髪のツインテールにゴスロリ服を纏った女神だ。

 明らかに関わりたくない雰囲気の彼女だが、入れ替わっている事に気付いていない彼女は時雨をミュースと勘違いしているらしい。

 マンションで出会った初見では荒々しいキャスティルと同じく怖い女神様のイメージしかない。


「どうも……」


 どんな反応で接していいか分からず、時雨はとりあえず彼女に小さく挨拶を交わした。

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