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第424話 一服②

 追加された特製かき氷は白猫のミールに再び置かれると、先程と同じペースで特製かき氷はミールの胃袋へと消えて行く。

 白い尻尾がフリフリと上機嫌に動いている姿に、喫茶店の女神は思わず白猫のミールを徐に撫でてしまった。

 一瞬、ミールは喫茶店の女神に振り返って見せるが、とくに嫌がる様子もなくそのまま気にせず特製かき氷を食べ続ける。


「私とした事が……申し訳ありません!」


 喫茶店の女神は我に返り、ミールを撫でていた手を引っ込める。

 憧れであり、崇拝している創造神ミールに許可なく無断で触れてしまった事に対して、自分はなんて罪深い女神なんだと自責の念に駆られてしまう。


「ニャ~」


 短い猫の鳴き声を上げると、白猫のミールは気にせず触っていいよと言っているように見えた。

 ミールの意図を理解した喫茶店の女神は細目を見開いて、緊張しているのか口の中の唾液を飲んで佇んでしまう。

 背中に軽く触れて撫でるつもりだったのだろうが、緊張していた影響で喫茶店の女神は尻尾に近い箇所を撫でてしまった。


「柔らかくて気持ちの良い触り心地です」


 喫茶店の女神はトロンとした表情を浮かべてしまい、すっかり虜になってしまった。

 崇拝していた創造神ミールをこんな間近で触れられた事もあって、喫茶店の女神は幸せの絶頂に達していただろう。


「私はミール様のお尻を……この手で触れている。私は今、ミール様と繋がっている至上の悦びをどのように表現したらいいのだろうか」


 ボソボソと独り言を呟く喫茶店の女神は一歩間違えれば変態のそれである。

 女神を駄目にする白猫。

 白猫のミールも「大げさだニャ~」と軽く受け流す程度で特製かき氷に夢中である。

 結局、この場を収拾する役目は自動的に時雨が担当する事になったと悟った時であった。


「赤髪の女神様によろしく伝えておいて下さい」


 サラリーマン風の男の一人が白猫のミールの前に立って言葉を投げ掛けたのだ。

 そしてテーブルにコーヒー代を置いて、そのまま喫茶店を後にする。


「ウェルス、待ってくれよ」


 連れのサラリーマン風の男もウェルスと言う男を追いかけるようにして喫茶店を後にする。

 慌ただしい一面を覗かせると、喫茶店の女神も我に返っていつもの調子に戻った。

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