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第416話 導火線

 ミールの言葉を信じるのなら、彼女の気分次第では太陽を地球にぶつける事が可能である。


「そんな物騒な事は滅多にしないから安心していいニャ」


「それならいいのですが……」


 ミールは滅多にしないと言っているが、裏を返せば天文学的な確率でぶつける危険性が残っている。

 女神の頂点に君臨する創造神だけあって、彼女の機嫌を損ねる行為は爆弾の導火線に火を点けるようなものかもしれない。


「そうだなぁ……時雨君やシェーナ君が女性に対して今以上の免疫を作らないと、罰として太陽をぶつけちゃおうかニャ~」


 考え込むような仕草をしながら、白猫のミールはサラっと恐ろしい事を述べる。

 それを聞いた時雨とシェーナは心臓が跳ね上がるような衝撃を覚えてしまう。

 時雨とシェーナが原因で地球が滅亡するような事態に陥ったら、地球上の生物に申し開きもできない。


「そんなアホな理由で惑星一つを木っ端微塵にされてたまるか」


 リビングの扉が開くと同時に呆れた声が耳に入る。

 声の主に振り向いて見ると、そこにはキャスティルが立っていた。


「仕事の進捗はどうニャ?」


「別に予定通りだ。どっかのアホな女神が面倒な仕事を増やさなければいいがな」


 小さな生欠伸をしながら、キャスティルはそのまま風呂場へ向かう。

 まだ仕事は残っているようで、ひと風呂浴びてリフレッシュするようだ。


「やれやれだニャ。私も気分を一転させて、アニメの続きを見るニャ~」


 ミールはキャスティルの背中を見送ると、再びテレビに集中する。


(あっ……)


 時雨はここで一つ気付いた事がある。

 ミールが白猫に変身している間は何も衣服を身に着けていない。

 先程、時雨を悪戯する目的でキャスティルや凛に変身した時も全裸であった。

 フカフカの白い毛玉を身に纏っている白猫のミールが仮に灼熱の炎天下で気を抜いて変身魔法を人の往来が激しい道端で解いてしまったらどうなるか。

 おそらく、四つん這いで生まれた姿の状態になって現れてしまうのではないだろうか。

 このご時世、カメラ付きの携帯やスマホを持ち歩いている人はごまんといる。

 下手をすれば、ネットに画像を晒されて拡散されたりしたら一生消せないだろう。


(いや、一つだけ方法があるか……)


 簡単に消す方法があるのを時雨は思い付いてしまう。

 それはミールが得意とする恒星を惑星にぶつけてしまう方法だ。

 荒っぽいが、確実に画像のデータは消去できるだろう。

 その代償として地球上の生物を全て犠牲にしてしまうが――。

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