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第415話 恒星

 結局、風呂場でキャスティルが暴れたおかげで浴槽や水道管が破裂したりして大変な目に遭った。


「派手にやらかしたニャ~」


 キャスティルは残っている仕事を片付けるために書斎へ戻り、騒ぎの元凶であるミールが溜息交じりで修繕を試みる。

 創造神の肩書きは伊達ではなく、壊れた物を元通りにするのが得意分野の彼女はキャスティルが破壊した品々を次々と魔法の力で元通りにしていく。


「煽るような真似をしたら駄目ですよ」


「煽ってるつもりは全くないニャ。お風呂の後は軽く皆と一緒にピロートークしたかったのにニャ~」


 それとなく時雨は注意を促すが、当人は反省するどころかピロートークをする気満々だったようだ。

 シェーナも散々な目に遭ったが、寝巻に着替えて台所の冷蔵庫から牛乳を取り出して一息入れている。


「よし、これで全部直したニャ」


 キャスティルが破壊した品々を全て元通りに直したミールは白猫の姿になり時雨の肩に乗って見せる。

 念のため、蛇口を捻って水道管の具合を確かめて見ると、正常に水が流れている。


「大丈夫そうですね」


 他の品々も手に取って感触を確かめていくと、問題なく使える。

 本当なら、修繕費だけで数十万円はしただろう。


「当たり前ニャ~。それより、そろそろアレが始まると思うからリビングのテレビへ行こうニャ」


「ああ、もうそんな時間ですか」


 ミールは時雨をリビングへ向かうように急かす。

 時計を見ると、たしかに予定していた時間に差し迫っていた。

 時雨はリビングのテレビを点けると鼻歌交じりで上機嫌になっている白猫のミールは目を輝かせながらテレビに(かじ)り付く。


「始まったニャ~」


 白猫のミールは尻尾をフリフリさせて、テンションが徐々に上がっていく。

 ミールが心待ちにしていたのは異世界転生系のアニメだ。


「俺や時雨としては複雑な心境だなぁ」


 コーヒーを淹れて現れたシェーナは時雨にカップを手渡してソファーに腰掛ける。

 実際に時雨やシェーナは異世界転生を実体験している立場なので、シェーナの気持ちは共感できる。


「ミールさんも、やろうと思えばこのぐらいの芸当はできるんじゃありませんか?」


 画面の女神が巨大な雷を地上に降らせる場面になると、時雨は思わず興味本位で尋ねて見る。

 総合的に判断しても、画面の女神よりここにいる創造神の方が色々な意味で勝っている。


「雷を作り出すのはできるけど、それを特定の人物に当てるとかやった事がないから難しいかもニャ」


「そ……そうですか」


 イメージ的には神の裁きとして、人間に神罰を下す手段として簡単にできると時雨は思っていた。

 それでも、雷を発生させる時点で十分に凄いが――。


「恒星を他の惑星にぶつけるのは得意だけどニャ~」


「恒星って……太陽の事ですよね?」


 今日は日も暮れてその姿は確認できないが、地球を明るく照らす太陽をミールはどうにかできると言うから驚きだ。

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