第394話 白猫②
「今日はどのようなご用件でしょうか?」
時雨は視線を逸らしながら、ミールに用件を尋ねる。
「うーん、時雨君達と戯れに来たのが半分で、仕事が半分ってとこかな」
全裸だったミールはまた白猫に変身しながら答えて見せた。
相変わらず自由気ままな性格は健在のようで、時雨は白猫に変身したミールをゆっくり覗き込む。
白い毛並みの尻尾を小刻みに動かしているその姿はとても愛くるしい。
(可愛いなぁ……)
先程の小悪魔は別の意味で時雨を魅了している。
モフりたい欲求が芽生えると、ミールはそんな時雨の心を読んでいた。
「ふふっ、遠慮なく触ってもいいニャ」
ミールの声で可愛らしい白猫の姿であざとく語尾に『ニャ』を付けて喋る。
こんなのは反則だ。
時雨は息を呑んで片手を差し出すと、ミールの頭を軽く撫でる。
すると、柔らくて温かい感触が手の平を通じて幸せな気持ちで溢れ返る。
「私も触っていいですか?」
「どうぞニャ」
加奈も時雨の様子を窺っている内に触りたい欲求に駆られてしまうと、ミールは快く承諾する。
普段はダークエルフだった時に長耳を触られる立場だった加奈であるが、触る立場になるのは新鮮味がある。
背中を中心的に触り始めると、加奈もミールの虜になってしまう。
「ははっ、少しくすぐったいニャ~」
ミール自身も二人に触られて満更でもない様子だ。
幸せな気分を共有している感じである。
「この肉球もプニプニで最高に良いわぁ」
加奈はミールの肉球部分を触り始めると、時雨も空いている肉球を凝視して我慢できずに触ってしまう。
歯止めが効かなくなりそうな雰囲気のところをミュースが軽く咳払いをして見せると、時雨と加奈も我に返って一旦モフるのを中断する。
「ミール様、仕事の内容とはどのようなものですか?」
「ああ、仕事ね。それは時雨君の観察だよ」
ミールは毛並みを揃えるために身体を振るわせながら仕事について答えた。




