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第392話 出題

「なるほど、それは災難でしたね」


 ミュースは時雨と加奈に同情の言葉を投げ掛ける。

 そして加奈の悩みを解決するために、ミュースはアドバイスをする。


「無理に背伸びをしなくても、優奈さんは加奈さんを好きでいてくれますよ。普段の時雨さん達と触れ合っているように自然な接し方で良いと思いますよ」


「んー、そんなものですかね。背後に回って、おっぱい触っても幻滅したりしませんかね?」


 それは自重しろと時雨は強く思う。

 これにはミュースもどう返答していいか悩んでしまって、苦笑いを浮かべながら言葉を選ぶ。


「そうですね……あまり複雑に考えないでストレートな気持ちをぶつければいいんですよ。とくに時雨さんはその手の分野が苦手な傾向がありますね」


「ストレートな気持ちですか」


 たしかにそうかもしれないと時雨は妙に納得してしまう。

 思った事を口にする前に、相手の心を傷付けないだろうかと頭の中で無意識に考える性格の持ち主だからだ。

 ミュースは人差し指を立てて、時雨に問いかける。


「例えば、私の事をどう思っているか答えて見て下さい」


 思いがけないミュースからの出題に時雨は言葉を失って呆然としてしまう。


(どう思っているかって……)


 パッと思い付く限りでは美人で清楚な女神様だろうか。

 上手く伝えようと時雨は試みるが、照れ臭そうに頭を掻いて答えて見せる。


「その……優しくて綺麗な人です」


 小学生並みの感想しか声に出なかった。

 こんな抽象的な捉え方ではかえって相手に伝わらないだろう。


「どの辺りが優しいですか?」


 案の定、ミュースはさらに深掘りして尋ねる。

 相手次第では先程の時雨が導き出した返答で自己完結してしまうだろう。

 今度はミュースの瞳を覗き込みながら、一呼吸置いて答えて見せる。


「分け隔てなく、どんな人とも優しく接する事ができる点です」


 時雨がそう述べると、ミュースは満足そうに微笑んで頷いた。


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