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第377話 プール②

 去年、香と加奈で訪れた市民プールへやって来ると盛況な賑わいを見せている。


(どうしようか……)


 正直、時雨はあまり気乗りがしない。

 女子更衣室で水着に着替えるのは億劫だし、併設されている休憩所で皆が泳いでいるプールを眺めるだけでもいいと思っている。


「私はそこで……」


「何言ってるのよ。ほら、行くわよ」


 時雨の言いたい事を理解した加奈は問答無用で手を引いて行く。

 受付を済ませると、時雨達は各々水着を選んで女子更衣室へ足を運ぶ。

 時雨はさっさと水着に着替えてプールへ向かおうとするが、香が行く手を阻む。


「時雨ちゃんの水着は可愛いなぁ。僕のはどうかな?」


「香ちゃんも……とても良いと思うよ」


 時雨の眼前には香の大きな胸が映り込み、当たり障りのない感想を述べるのがやっとだ。


「私はどんな感じかな?」


 今度は理恵が背後から尋ねて来る。


「い……良いんじゃないかな」


 時雨はゆっくり振り返ると、刺激的な光景に目を奪われてしまう。

 先程の香より雑な返答しかできなかった。


「おっ、いいねぇ。なかなか良い物をお持ちのようで」


 今度は加奈がまじまじと時雨の水着姿を拝むと、三人に囲まれた時雨は為す術もなく動けないでいる。


「アホな事やってないで、さっさとプールサイドへ移動しろ」


 見兼ねたキャスティルはそう言い残して女子更衣室を後にする。


「ほ……ほら、待たせると怒られるから早く行こう!」


 時雨は早歩きになってキャスティルの後を追いかける。

 あのまま、あそこで足止めされていたら何をされていたか分かったものではない。

 プールサイドへ移動すると、加奈は早速プールへ飛び込もうとする。


「勝手に走り回るな。それに準備運動をしてから入れ」


 キャスティルが加奈の腕を掴んで引き止めると注意を促す。

 その光景は教師が生徒に注意するものと変わらないのだが、どちらも年齢的には大人の女性に見えるため、姉妹の日常的な一面でも通用する。

 時雨達は簡単に準備運動を済ませてプールへ入ると、加奈はビーチボールを軽く投げて見せる。

 時計回りで順番にビーチボールが渡り始めると、時雨の番手になってビーチボールを次の人へ回そうとするが、足元が揺らいでバランスを崩してしまう。


(しまった……)


 ビーチホールはそのまま水に浮かんで、時雨は水中へ身体を沈める形になる。

 すぐに水面へ上がろうとすると、理恵が時雨の身体を支えるようにして助けてくれた。


「はぁはぁ……理恵、ありがとう」


「一旦プールサイドへ上がろうか」


 理恵に介助されながらプールサイドに移動すると、すぐにキャスティルも駆けつけて時雨の体調を気に掛けてくれた。

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