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第372話 デジャヴ

 キャスティルは昼飯を食べに行くと時雨達を外に連れ出して、大通りの商店街に来ていた。

 商店街の一部はシャッターで閉じられており、まだ陽が出ている時間帯にも関わらず人通りも少なく活気がなくて寂しい。


「女神様は私達に何を食べさせてくれるのかしらね」


 加奈はお気楽にも昼飯をご馳走してくれるキャスティルに期待を込めている。


「加奈があんな調子だったから、霞でも食べろってオチかもね」


「霞って、仙人じゃあるまいし。今を時めく女子高生にそんな仕打ちは……多分しないわよ」


 少々意地悪な回答をした時雨であったが、加奈も実際ありそうな展開なので否定しきれないでいる。


「それより、元の姿にもどらないの?」


「こっちの方が何かあった時は俊敏に動けるし、それに時雨もこっちの姿の方が目の保養になって良いじゃん」


 加奈は意味深に胸を寄せ付けて見せると、早い話時雨をからかうのにダークエルフ姿の方が適しているらしい。


「しばらく両親は実家に帰省中だし、時雨の心配しているような事は何も起きないわよ」


「それならいいけど……加奈の場合、羽目を外し過ぎて思わぬアクシデントに見舞われないかヒヤヒヤするよ」


「大丈夫よ。そんな漫画みたいなお約束は私に限ってないない」


 それがありそうなんだよなぁと時雨は心の中で思う。

 帰省していた両親が予定より早く帰って来たり、ダークエルフ姿の加奈を知らない近所の人が加奈の家に出入りしているのを不審に思って警察に通報されたりするかもしれない。

 そんな事を考え出したらキリがない時雨であるが、加奈は自信満々だ。


「ここだ」


 キャスティルは足を止めると、そこは年季の入った喫茶店であった。

 以前、時雨達が入った喫茶店を彷彿させる。


「デジャヴってやつかしらね」


 加奈は身構えるように喫茶店の外観を見渡すと、警戒感が芽生える。


「どうだろうね」


 時雨も一歩引いて喫茶店の前に立つと、香は趙著なく喫茶店へ入店する。


「また美味しいレシピのデザートを教えてくれるかも」


 以前訪れた喫茶店の経営者である老婆は時雨達に秘伝のアップルパイのレシピを伝授してくれた。

 あれ以来、デザート好きの香はそのレシピでアップルパイを作る機会が増えて幸せを噛み締めていた。


「お前達もさっさと入れ」


 キャスティルが時雨と加奈を急かすように促すと、二人は顔を合わせて無言で頷きキャスティルの後に続いた。

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