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第355話 子供っぽさ

「次はあっちの水槽を見て回ろう」


 香は元気いっぱいに時雨を手招きして見せる。


(まだまだ子供だなぁ……)


 そう思いながら、時雨は子供っぽくはしゃいでいる香の元へ向かう。

 まるで前世の少年だった頃に戻ったような感じがして、どこか懐かしさが蘇るようである。

 時雨のヤレヤレ感が伝わったのか、香は頬を膨らませてしまう。


「あっ、もしかして子供っぽいなって思ってるでしょ?」


「まあ……少しはね。でも、香ちゃんらしさがあって良いと思うよ」


「僕としては時雨ちゃんももう少し子供っぽく振る舞ってもいいんだよ」


 年齢的に考えたら、今は高一の女子高生。

 前世では十代後半から騎士として社会人を務めていたので、子供っぽく振る舞おうとするのは抵抗感がある。

 加奈のような陽キャを演じろと言われても、多分できないだろう。

 どちらかと言えば、時雨は属性的に陰キャに近い。

 そんな事を考えている内に、香は時雨の背後に回って抱き付きながらスマホのシャッターを押して見せる。


「こんな感じで時雨ちゃんも甘えていいんだからね」


「う……うん」


 時雨は背中に弾力のある物体がぶつかって、小さく答える事しかできなかった。

 二人は水槽の魚を眺めながら記念撮影に乗じていると、館内放送が流れ始めた。


『今から特設ステージで魚介レンジャーが皆に会いにやって来るよ!』


 女性のアナウンスが元気良く館内に響き渡ると、子供連れの家族客等はせがまれて移動を始める。


「魚介レンジャーって何だろう?」


 香が首を傾げると、近くにいたスタッフがチラシを一枚手渡してくれた。


「魚介レンジャーはこの辺りで有名なご当地ヒーローですよ。お姉さん方も是非立ち寄って見て下さいね!」


 にこやかに対応してくれたスタッフは特設ステージのある場所を教えてくれた。

 ご当地ヒーロー、おそらく各地方で活躍するゆるキャラ的な位置づけに近いのかもしれないと時雨は納得する。


「集合時間まで時間はまだあるし、少し立ち寄ってみる?」


「うん! 早く行ってみよう」


 香は目を輝かせて時雨の手を引いて行く。

 どうやら、ご当地ヒーローの魚介レンジャーに興味津々なようだ。


(やっぱり、まだ子供だなぁ)


 少年心を抱いた女子高生の香だが、時雨も満更ではない顔で特設ステージへ移動を始めた。

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