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第316話 ポッキーゲーム

 凛とミュースのペアも問題なくクリアし、柚子と門倉のペアも羽目を外して楽しんでいる。香とスノーのペアもポテチを大量に要求して口へ頬張るスノーを見ながらクリアすると、残るは王様である加奈と紅葉のペアであった。


「紅葉先輩、目が怖いです」


 紅葉はポテチを片手に持参したまたたびをチラつかせている。

 ダークエルフは猫じゃないぞと主張する加奈だが、長耳は可愛らしく反応している。

 以前、凛が空き地で見つけた二匹の捨て猫を学校の女子生徒達に飼えないか聞いて回った際に紅葉は両親がアレルギーであるために断念した過去がある。

 元々、動物好きである紅葉であったが、それはキュートな長耳をしているダークエルフも例外ではなかった。


「ポテチもらいますよ」


 加奈はまたたびに目もくれず、ポテチをそのまま口にする。

 ポテチの旨味に長耳も反応して左右に揺れると、紅葉はその動きにたまらず撫でてしまう。


「あん……どこ触ってるんですか!」


「この触感がたまらないなぁ。とても触り心地が良い」


 加奈の声は聞こえていない様子で、紅葉はうっとりしながら自分の世界観に浸る。

 当初の予定では、時雨かシェーナとペアになればミールの実践したような事をすれば面白い反応が見れると踏んで期待していた。

 勿論、それ以外の人物に当たる確率も十分にあったが、予想通りミールなら加奈の意図を汲んでくれたおかげで、シェーナの戸惑った顔を覗く事が出来た。

 一番恐れていたのは天敵である紅葉と当たる事であったが、見事に引き当ててしまった。

 いつもはツッコまれる側の加奈だが、紅葉が絡むとツッコミ側へと転身してしまう。

 全てのペアが命令を遂行したのを確認すると、とりあえず紅葉と加奈を引き離して三回目のゲームへ突入する。

 程よく緊張も解れて、お菓子や飲料水に手を付けながらクジを引いてくと、次の王様はミールであった。


「おや、私が王様か」


 この場にいる者に緊張が走る。

 加奈の時もそうであったが、絶対ロクでもない命令を下すだろうと――。


「裸になって酒池肉林の宴に興じるって命令も悪くはないかなと思ったけど、時雨君やシェーナ君が天国へ昇天しそうだから止めておこうか」


「そんなアホな命令を下したら、私が代わりにお前の尻を叩いてやる」


 ミールが時雨とシェーナをじっと見つめながら冗談交じりで語ると、キャスティルがハリセンを手にしながらミールに警告する。

 香や加奈は酒池肉林の宴も悪くはないなと色々と想像を膨らませながら残念そうにしていると、あまり目立っていないが、門倉も「くっ……」と目を伏せて悔しそうにしている。


「よし、決めたよ。さっきの要領で奇数番号は一を足した偶数番号とポッキーゲームをやってもらおうかな」


 ミールは王様の命令を下すと、その場でざわめきが生じる。

 先程のポテチどころの騒ぎではないからだ。


(相手は誰だ……)


 時雨は自分とペアになる者を確認すると、胸の鼓動が抑えきれない。


「私のペアは……時雨ね」


 時雨は五番のクジを手にしていると、頬を赤く染めた凛が六番のクジを見せながら立ち尽くしていた。

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