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第294話 反省会

 凛が布団から目覚めると、一列に並んで正座している時雨達が目に飛び込んで来た。

 不覚にも、一回目は廃病院内で気絶し、二回目は車でお化け以上に恐ろしい存在を目にして気絶してしまった。

 状況的に旅館へ無事帰還したのだと確信できたが、何故時雨達は正座しているのか訳が分からなかった。


「お前等、はしゃぎ過ぎだ! 面倒を起こして警察沙汰にでもなったらどうするつもりだ。一般客がいるのを少しは考えて行動しろ」


 キャスティルが時雨達に怒鳴り散らすと、とりあえず気絶したフリをしたままやり過ごした方が得策だと凛は判断する。


「いやぁ、皆が可愛い反応をするものだからさ」


「一番反省するのはお前だ! 創造神なら、もっとそれらしい振る舞いをだな……」


 赤髪を掻き分けてキャスティルはミールに説教を垂れ始める。

 後日、ミュースから聞いたのだが、ミールに注意できる神は運命の女神キャスティルと破壊神カフテラぐらいらしい。


「はいはい、以後気を付けるよ。あんまり怒ってると、シワが増えちゃうよぉ」


 ミールはキャスティルの頬を両手で掴むと、無理矢理に笑顔を作らせる。


「キャスティルの肌は赤ちゃんみたいにもちもちだね。頬ずりしていい?」


「おいこら、気色悪いからやめろ!」


 主導権は完全にミールが握り、キャスティルに顔を近付けて頬ずりする。

 たしかに、この創造神の相手をするのは並大抵の者では務まりそうもない。


「ついでだから、皆にも頬ずりしておこうかな」


 ミールはキャスティルから標的を時雨達に変えると、問答無用で順番に頬ずりを始める。

 そして最後に布団で狸寝入りしていた凛にも躊躇なく頬ずりをする。


「きゃっ!」


「お姫様がお目覚めだね。ここはロマンチックにキスをした方が良かったかな」


 冗談交じりでミールが凛を布団から起こすと、意味深な言葉を時雨に向かって投げ掛ける。


「無防備な相手にそんな……セクハラはしません」


「そうなのかい? 凛君はそうでもないと思うけどねぇ」


「それは……」


 ミールは悪戯っぽく笑いながら、凛も言葉を詰まらせて満更でもない様子だ。

 これに対抗しようと香が布団の上に寝そべると、静かに瞳を閉じる。


「どうやら、王子様の目覚めのキスがご所望みたいね」


 加奈が時雨の背中を押しながら、その意味を汲み取る。


(誰が王子様だよ……)


 時雨は恥ずかしがって正座を崩すと、自分の布団に潜ってしまう。


「怒るのも馬鹿らしくなってきたな。明日の起床は早いからさっさと寝ろ!」


 キャスティルも布団に潜ると、とりあえず彼女の説教は終わりを迎えた。


「よし、明日も良い日になるよう頑張ろうね!」


 力強い言葉でミールが励ますと、各々自分の布団に潜って床に就く。

 そのどさくさに紛れてミールはキャスティルの布団に潜ろうとすると、無言で足蹴にされて追い出されてしまうのだった。

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