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第267話 神の裁き?

 小腹が空いたと言っていたが、並んでいる露店の食べ物を片っ端から注文していく。


「さて、腹ごしらえをしようかな」


 フードコートの一席を確保すると、ミールはテーブルに溢れんばかりの食べ物に手を付ける。

 キャスティルもそうだが、上位女神はフードファイターになるのが必須項目なのかと疑いたくなる。

 見ているだけでお腹一杯になりそうな光景だ。


「君達も適当に食べていいよ」


「いえ、そのお心遣いだけで十分です」


 アイスコーヒーを片手に時雨は首を横に振って断りを入れる。

 シェーナも時雨と同じ心境のようで、ここでミールに付き合ったら昼食の海鮮料理が確実に食べられなくなるからだ。


「遠慮しなくてもいいよ。私一人で食べるのも味気ないし、皆で楽しくアットホームな食卓を囲みたいなぁ」


 ミールの圧が凄まじい。

 シェーナはとくに新米女神なので、上司の女神からの申し出を断り難い状況だ。

 厄介なのが親切心から言葉にしているので、パワハラの自覚は全くない。

 仮に勇気を振り絞ってできない事を口にすれば、意に反した二人を創造神の女神はどのような行動に移すのか予想ができないので恐ろしい。


(神の裁きが下るかも……)


 聖書や文献等の類に登場する神様や最近の漫画やラノベ等に登場する神様は悪しき存在をその手で裁くのが常套手段。

 時雨は生唾を呑んでジャージにミールと刺繍された女神を一瞥すると、ミールはテーブルにある山盛りのポテトフライを一本ずつ時雨とシェーナに咥えさせた。


「美味しいかい?」


 ミールもポテトフライを一本口にして笑顔で訊ねる。


「あ……ええ、とても美味しいです」


 時雨は面喰って答えると、シェーナもそれに続いて答える。


「ふふっ、神の裁きなんてないよ。私はこう見えても個人の主張を尊重するからね」


 どうやら、二人の思考を読み取っているようだ。

 とりあえず一安心しながら、ポテトフライの味を噛み締める。


「そうだな……こんな神の裁きはどうだろう?」


 ミールは席を立つと、時雨の横に座ってみせる。

 そして次の瞬間、時雨が咥えていたポテトフライにミールも咥え始めた。

 前髪を掻き分けてミールの瞳が時雨を捉えると、慌てて時雨はポテトフライを口から離そうとするがまるで金縛りにあったように身動きが取れない。

 段々とポテトフライがミールに侵食にされていくと、お土産屋で買い物をしていた香がミュース達と合流して時雨達のいるフードコートに現れる。


「あっ、何やっているんですか!」


 一番早く動いたのは香で、間髪入れずに止めに入る。

 素早く時雨の手を引くと、時雨の金縛りは解けて身体が自由に動かせる。


「神の裁きは失敗か」


 悔しそうにミールは咥えていたポテトフライを食べ切り、ミールの愉悦は幕を閉じた。

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