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第258話 真意

 先程まで食卓のテーブルに座っていた時雨とシェーナがソファーへ移動しているのに気付いた凛が不思議そうにこちらを窺う。


「あれ? 何か変な感じね。まるで狐につままれたような……」


「気のせいですよ! それよりシェーナも長旅で疲れていると思いますので、お風呂を沸かしますよ」


 時雨はソファーから立ち上がると、風呂へ入る準備を整える。シェーナも意図を汲み取って夕食の後片付けに入る。

 違和感が残る形で凛はファッション誌を閉じると、シェーナと共に皿洗いを始めた。


 しばらくして風呂が沸くと、凛はシェーナに一番風呂を勧める。


「お先にどうぞ」


「いや、家主を差し置いて先に入るのは悪いよ」


「じゃあ、一緒に入っちゃう?」


「それは……駄目だよ」


 居候の立場であるシェーナにしてみれば、一番風呂は家主である凛が適切であると考える。

 そんなシェーナを誘惑するかのように、今度は一緒に風呂を勧めるとシェーナは頬を赤らめて拒否する。

 凛もそうだが、時雨の周りにいる女性陣は割と押しが強いような気がする。


「もしかして、見せたくない傷とかあったりするからかな?」


「そんなのはないけど……」


「ふふっ、じゃあ入りましょうよ」


 凛は意地悪そうな笑みでシェーナと腕を掴む。


(私と同じパターンか)


 時雨は凛と初めて風呂へ入った時もこんな感じの流れだったのを思い出す。

 時雨とシェーナは前世が男だっただけに、性格も似ているので客観的な立場から二人の様子を見ていると、何だかこちらもむず痒い気持ちになってしまう。


「二人で入るなんて絶対駄目です!?」


 時雨が両手を広げて飛び出して行く手を阻む。


「二人が駄目なら、三人で入りましょう」


 数を増やせば良い訳ではない。

 時雨の華奢な身体をそのまま引っ張って、時雨とシェーナは風呂場へ連行されて行く。


「時雨が積極的になってくれて嬉しいわ」


「違います!? 私は凛先輩がシェーナと入るのが心配で……」


「あら、何を心配しているのかしら?」


「それは……シェーナも前世は男ですので間違った事とか起こるかも」


 手をもじもじさせながら声のトーンを小さくして反論する時雨にシェーナもそんな事するかと言わんばかりに首を横に振って見せる。


「その理屈だと、時雨も該当するわよ。まあ、時雨がその気になってくれたら……」


「えっ?」


「何でもないわよ! いいから、三人で入るの」


 凛ははぐらかして二人の衣服を脱がして行くと、二人の悲鳴と共に風呂場が賑やかになる。

 微かな声で真意は分からないが、喜んで受け入れると聞き取れなくもなかった。

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