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第247話 アルバイト②

 簡潔にアルバイトの内容は時雨にとって好条件のものであった。

 アルバイト先は神奈川県の江の島にある海の家。

 どうやら以前柚子がモデルの撮影で海の家を間借りして使用させてもらったのが縁の始まりで付き合いがあったそうだ。今夏はいつも予定していたアルバイトの子が集められず、それが柚子の耳にも届いて相談を持ち掛けられたところ時雨に話が舞い込んで来たと言う訳だ。

 さらにアルバイト期間中は宿泊先も海の家を経営しているオーナーが無料で提供してくれると言う破格の対応。

 アルバイト代も日給で貰えるらしいので、お金もすぐ手元に入る。

 まさに渡りに船、一石二鳥とはこの事である。


『今まで生きてきて、これほどお姉ちゃんに感謝した事はないよ!?』


『いや、沢山あるでしょうに。まったく……そういう事だから、時雨以外にも香ちゃんや加奈ちゃんにもこの話を持ち掛けて見てよ。人数多ければ助かるからね』


 時雨は舞い上がる気持ちを抑えきれずにアルバイトを承諾する。

 電話を切ると、採点をしているキャスティルに時雨は再び頭を下げる。


「ありがとうございました!」


「ふん……私も海で遊びたかっただけだ。互いに利点が一致したまでだ」


 口では冷たくあしらっているが、時雨のために一肌脱いでくれた事に感謝しか思いつかない。

 早速、香や加奈に連絡を入れておくと、二人からすぐにOKの返信が返って来た。


「後は凛先輩や紅葉先輩も誘って……」


 時雨のテンションが上がっているのを目の当たりにすると、キャスティルはいつもの調子で時雨を机に座らせる。


「手の掛かる子供(ガキ)だな。おい! ここの問題は間違っているから、一緒に解いていくぞ」


「はい、よろしくお願いします!」


「まったく、ゲンキンな野郎だな」


「今は女子なので野郎ではないです」


 時雨は元気の良い声でしっかりしたツッコミを入れると、段々とそれが鬱陶(うっとう)しくなってキャスティルの怒りは爆発する。


「さっきのアルバイト、やっぱり私から断りの電話入れてやろうか」


 赤ペンがへし折られると、時雨は慌てて我に返る。

 そして次の日も長いようで短かったキャスティルの家庭教師は無事に終えると、中間テストの期間に突入する。

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