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第242話 自己紹介

 学校内で憧れの的である凛と紅葉。

 女神の名に相応しい美女のミュースとシェーナ。

 時雨にとって刺激的で非日常的な面子の集まりだが、唯一友人である加奈の存在が現実であると告げる。


「せっかくなので簡単な自己紹介でもしていきますか」


 初顔合わせの者もいるので、時雨は提案を持ち掛けると、全員賛成の意見でまとまった。

 発案者として時雨から自己紹介を始めると、滞りなく順番に進められていく。

 最後にシェーナの番が回って来ると、緊張した素振りで語り出す。


「初めまして……異世界では貴族令嬢、元騎士を務めていました。現在は街の一角で料理店を営みながら、女神をやっています」


 それを聞いた時雨とミュース以外の一同は小さく驚いた声を上げてしまう。

 とくに加奈と紅葉の両名はシェーナの生い立ちに興味が湧いて目を輝かせながら喰い付く。


「私も前世は女神様と同じで貴族令嬢であり、騎士を務めて参りました。よろしければ、当時の武勇伝等をお聞かせ下さい」


「女神様はリアルで『くっ殺!』を叫んだ事はありますか? もしあるのでしたら、その辺の事情を詳しくお聞かせ下さい」


 紅葉は純粋に騎士としての武勲について知りたい様子だ。

 元々シェーナは紅葉と生い立ちの境遇が似ているし、その気持ちは分からないでもない。

 対して加奈は何て質問を繰り出しているんだと呆れてしまう。

 二人同時に迫られると、シェーナは予想もしなかった反応に戸惑いながらも返答する。


「えっと、主に地方の村々を重点的に回って魔物を退治してました。あと叫んだ事は……あります」


 時雨は飲み物を口に含んで聞いていると、思わず器官に飲み物が入ってむせてしまう。


(ええ……あるのか)


 地方云々の下りはさすがだなと感心して聞いていられたが、その後の落差が激し過ぎる。


「あっ……そうだったんですか。いや、詳しく聞かせて下さいって言いましたが、話したくないのであればスルーしちゃって下さい。それとこのピザ美味しそうなので食べてみましょう」


 女神に登用されるような者なら、そんな体験はないだろうと踏んでいた加奈は冗談のつもりで話を振ったが、まさか本人の口からあると返答が返って来るとは予想もしていなかった。

 これには加奈も参ってしまい、精神的な傷口を広げないために気を遣ってしまう。


「そうだ! 今度、料理屋を営んでいるシェーナの手作り料理を食べてみたいなぁ。凛先輩も食べてみたいですよね?」


「ええ、そうね。女神様の手料理を是非とも堪能したいです」


 時雨も大げさに話を振ると、凛もそれに乗じる。

 ミュースはそんな時雨達を見回しながら微笑ましい様子で窺っていると、時雨達の心に語り掛ける女神の影があった。


『おい、その叫んだ経緯を詳しく話せ! 女神ともあろう存在がそんな黒歴史を抱えているなんて恥だぞ』


 声の主はキャスティルだ。

 どうやら、時雨達の会話を心の中を通して聞いていたようだ。


『わ……分かりました』


 シェーナは観念したように心の中で洗いざらい語り出そうとすると、その経緯を細かく報告した。

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