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第240話 机を囲んで昼食

 午前の授業が終わり、昼食は香と加奈で机を囲んでいた。


「一般的な女神像って、やっぱりこんな感じよね」


 加奈は弁当のきんぴらゴボウを摘みながら、ノートにイメージ像が描かれた女神を見せる。

 薄布に身を包み、天使の子供達に囲まれる神々しい姿。


「本人曰く、そんな姿で街を闊歩していたら変質者で捕まるだろって一蹴されたのはショックだったけどね」


 常識的に考えればそうなのだが、そこはお世辞でも肯定して欲しかったなと時雨は思う。

 現実は時雨達に宿題のプリントを配布して試練を与える。


(無慈悲だなぁ……)


 時雨は牛乳パックを手に取って口にすると、香はノートのイメージ像を目にしながら人柄について感想を述べる。


「たしかにキャスティル先生は口が悪いけど、根本的な部分は悪い人じゃないよ。加奈も僕や時雨ちゃんの胸を揉んだりして態度は悪いけど、根本的な部分は……やっぱり悪いか」


「こらこら、何でそこまで言って諦める!?」


 納得いかない加奈は香の柔らかい頬をつまんで抗議する。

 この二人も中学からこんな感じでやり過ごしてきたので、口では色々言い合える仲の良い友達だ。

 加奈については保留として、キャスティルに対する評価は的を得る判断だ。


「はいはい、そこまで」


 時雨は間に入って二人を(たしな)めると、香に野菜ジュース、加奈にウーロン茶のペットボトルを咥えさせて口を塞ぐ。

 二人は落ち着きを取り戻すと、加奈は何かを思い出したかのように話題を変えて喋り出す。


「そういえば、昨日ミュースさんから聞いたけど時雨の家に新人の女神様が降臨したって耳にしたわよ」


「ああ、シェーナの事か」


「おや、これは珍しい。時雨が女神様に対して敬称を付けないでフレンドリーな呼び方をするとは……」


 どうやら、シェーナについての情報は新人女神としか情報が入っていない様子で、たとえ新人でも女神様を呼び捨てにする時雨の対応は意外そうだった。

 記念に一枚、スマホで並んで撮った写真を収めたのがあったので二人に見せる。


「これが新人女神のシェーナだよ。彼女は……」


「これは紛うことなき美人ね。整った銀色の長髪と幸薄そうな人柄が女神だと語り掛けているわ。心なしか、時雨さんは鼻の下を伸ばしてスケベ心が透けて見えるような気がするなぁ」


 時雨がシェーナについて語ろうとすると、加奈がまじまじとスマホの写真について大げさに誇張した感想を述べる。


「綺麗な人だけど、可愛さは僕の方が上だからね!」


 加奈はワザと香を焚き付けるように仕向けると、香は案の定思惑に乗せられてしまう。


「いやいや、時雨はムッツリスケベさんだし、うかうかしていたらこのシェーナって女神様やミュースさんみたいな女神様に時雨を奪われちゃうよぉ?」


「そ……そんな事ないし! もう、加奈の意地悪」


 頬を膨らませて反論する香を加奈はその反応を楽しんでからかっている。

 結局、二人をまた(たしな)める役目に徹する時雨は先程のペットボトルを二人に咥えさせてその場を鎮めるのであった。

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