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第175話 反省

 しばらくして、時雨と優奈は凛が見守る中で元の身体に戻った。


「凛さんも転生者とは驚きました。それなら、別に隠す必要はなかったですし、あんな茶番に付き合う必要もなかったじゃないですか」


 まさか同じ境遇の者だとは露知らず、必死になって策を弄せずともよかったのだと優奈は時雨に文句を垂れる。

 優奈の主張は尤もなのだが、時雨は恥ずかしがりながら弁明する。


「それは……正体を明かして凛先輩を迎え入れたら変な目で見られるかもしれないし」


「変な目? もう、はっきりと言って下さい!?」


 物事をはっきりさせたい性格の優奈にとって、時雨のなよなよとした様子に痺れを切らしてしまう。


「騎士であり、男だった羞恥心が芽生えて妙な誤解を与えたくなかったのよね?」


 凛が間に入ってフォローすると、まさにその通りである。

 過程はどうあれ、エルフ姿の優奈と入れ替わった事実は覆せない。

 入れ替わって間もなくして凛が家に訪れると、凛の言った事が脳裏を過ぎってしまった。

 上手くやり過ごして元に戻れば良かったのだが、失敗に終わって今に至る。


「ごめんなさい!? 凛先輩に嫌われたくなかった一心であんな事を……」


「もう、馬鹿ね。ちゃんと話してくれればよかったのに」


 時雨は頭を下げて凛に謝罪すると、凛は時雨の頭を優しく撫でる。

 後ろめたい気持ちから優奈と凛を巻き込んでしまったが、これからは正直になろうと固く誓う。


「はぁ……時雨さんって、人生遠回りするタイプの人ですね」


「優奈ちゃんも巻き込んでごめんね」


「まあ魔法具を持ち込んだ私にも責任がありますから、苦い思い出として胸に収めておきます」


 遠回りするのは慣れているので、今更どうしようもないなと時雨は思う。


 時計は十二時を回ったところで、優奈は慌てて立ち上がる。

 午後から塾でテストがあるらしいので、時雨と凛は優奈を玄関先まで見送る。


「では、お邪魔しました」


「優奈ちゃんは今年受験生だったのね。志望する高校はもう決まっているのかしら?」


「はい、お姉ちゃんと同じ高校に決めています」


「あら、そうなの。優奈ちゃんなら絶対合格できると思うから、頑張ってね」


 凛は優奈に激励を送ると、優奈は一礼してその場を後にした。


「ふふっ、来年には可愛らしい後輩が増えて楽しみだわ」


「ええ、そうですね」


 優奈なら合格を勝ち取って、来年には時雨達と同じ高校に通っているだろう。

 加奈と優奈が並んで登校する姿を想像すると、賑やかな高校生活が始まりそうだ。

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