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第149話 散歩

 解決策がないまま、時間だけが過ぎていく。

 こんな事なら、魔法の知識について前世で学んでおけばよかったと後悔する。


「少し気分転換に散歩でも行こうよ」

「えー、雨降ってるよ」


 加奈は軽く手を叩いて提案すると、雨に濡れたくない香は気乗りがしない。

 時雨は新たな解決策を模索するためにも一旦、気分転換したいと思っていたところだ。


「散歩がてらに駅前のコンビニで加奈とお菓子でも買って来るよ。香ちゃんは留守番をお願いしようかな」

「時雨ちゃんも散歩に行くなら私も行く! 寝巻だから、家に戻って着替えるね」


 慌てて香は部屋を飛び出すと、私服に着替えて合流。

 加奈も柚子から服を借りるために部屋を出ると、一人残った時雨も私服に着替え始める。

 加奈が帰宅する夕方頃までに元の姿に戻れなかった場合、加奈の家族や学校側に経緯を説明して納得させなければならない。


(何か方法を考えないとなぁ)


 憂鬱な気分になる時雨は無造作に置かれた手鏡を手に取ると、好青年の姿をした騎士が冴えない表情でこちらを見つめている。


「時雨、準備できた?」


 自室に着替え終わった加奈が入って来ると、柚子の普段着に身を包んでいる。

 特徴的な長耳はニット帽で隠して、特に目を引いたのが、眼鏡をかけているので印象が大きく変化している。


「ああ、できたよ。その眼鏡はどうしたの?」

「お姉さんから借りたの。この伊達眼鏡を付けたら、インテリ女子っぽく見えて男にもてるかもしれないってね」


 たしかにダークエルフの容姿と伊達眼鏡は知的な女子を演出するのに一役買っている。


「似合っているよ。でも、近所を散歩するだけだし、あまり目立たない方が……」

「時雨は心配性だなぁ。ほら、早く行こう」


 元気な声で時雨の手を引いて外へ出る。

 傘を差してしばらくすると、香が私服に着替えて合流する。


「よーし、散歩にレッツゴー」

「あっ、加奈待ってよ」


 加奈は駆け足で街道を走り抜けて行くと、それを追いかけるように時雨と香は後に続いた。

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