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第141話 ハードな一日

「まさか、ここまで敏感とはね」


 少々、悪ノリが過ぎたと反省する柚子はベッドで気絶している加奈の頭を軽く撫でる。


「私は加奈ちゃんの傍にいるから、時雨はお風呂に入っちゃいなさい」

「私がいない間に、また耳を撫でたりしちゃ駄目だよ」


 時雨が念押しすると、風呂に入っている間は誰も柚子を制止する者がいない。

 これ以上、耳を撫でられたら失禁してしまうかもしれない。


「そんな事はしないわよ。この現状を見たら時雨達の言葉を信じるしかないからね」


 本当はもっと早い段階で信じて欲しかったが、加奈の尊い犠牲も無駄ではなかったようだ。

 時雨は懐疑的な目で柚子を見ると、背中を押されて部屋を追い出される。


「ほらほら、さっさと入る。お父さんやお母さんも帰って来るから後がつかえるよ」

 柚子と加奈を二人っきりにさせるのは少々不安が残るが、帰省から戻って来る両親の事を考えると乗り物の移動等で疲れているだろうし、素直に従う事にする。

 湯船に浸かる時雨は今日起きた一連の出来事について、ぼんやり天井を眺めながら思い返していた。


(今日はハードな一日だったなぁ)


 神社の境内で香に耳たぶを甘噛みされて、手鏡の影響で加奈は色香のあるダークエルフになって襲われて、その加奈は柚子に長耳を撫でられて悶絶すると言う一連の流れを体験したのだから無理もない。

 時雨は耳たぶを触ると、あの時に味わった快楽も蘇り、湯船で火照った身体がさらに熱くなりそうな感覚に陥る。

 咄嗟に湯船のお湯へ潜ると、昂った気持ちを落ち着かせる。

 実の弟だったシャインが、今では幼馴染の笹山香として、会話や仕草はすっかり女子に染まっている。

 時雨も転生して十数年経過しているが、私生活の面では最初の頃に比べればマシになった。

 それでも時雨や香は恋愛対象が女性であるのは変わらない。

 潜っていた湯船から顔を出すと、時雨は風呂から上がって自室へ戻った。

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